クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

ダメなカローラと良いカローラ池田直渡「週刊モータージャーナル」(5/6 ページ)

» 2019年10月07日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

それぞれ乗ってどうなのか?

 総じて、今回のカローラはみなスポーツ寄りだと思っていい。曲がるのが得意で楽しい。スポーツセダンでありスポーツワゴンであり、スポーツ・ハッチだ。

 個別に見ていこう。今回のセダンはとてもスタイリッシュで、従来、Cセグメントセダンというと、どうしても後ろ姿の安っぽさが拭えなかったものだが、今回はそのリヤビューに明らかに良いもの感がある。おそらくは3ナンバー幅に拡幅したことがスタイルに効いている。

パッと見で、カムリ辺りの車格に感じるリヤビュー。これまでこのクラスのセダンになかった高級感がある

 予想外で面白かったのはセダンのガソリンモデル。自然吸気1.8リッターの何の変哲もない仕様だ。ただの廉価モデルと思っていたら、ハイブリッドユニットもバッテリーもないおかげで車両の動きが軽やかになっている。パワーこそ控えめだが、シャシー的にはいっぱしのスポーツセダンで、山道ドライブはさぞかし楽しかろうという仕上がり。全モデル中で、比較するとこれだけがわずかながら直進能力が落ちるところがあるが、瑕疵といえるほどのものではないし、それを帳消しにできるくらい気持ちよく曲がる。

 横浜の首都高と一般道を含めた50分のルートを走った燃費は14キロ程度だった。少なくとも悪くはない。似たような装備で比べるとHVよりおおむね50万円安く買えると考えると、お値打ち感は高い。

 シートはファブリック(布)が標準で、高グレードに合皮が採用される。筆者は基本的に布シートをお勧めすることが多いのだが、カローラに限っては合皮の方が良い。シートの骨格もウレタンも同じなのだが、表皮の張りが違う分、座り心地が変わる。

布も合皮も同じ仕様で作られているが、表皮の硬さの差でシートの座り心地には差がある

 そしてHV(ハイブリッド)モデルだ。上述の1.8モデルから乗り換えると少し重さを感じるが、比べなければ気にならないレベルだろう。むしろ高速では重さが直進安定性でプラスに作用しており、高速巡航が重要な人にはHVが有利だ。しかも燃費は20キロ。今回のカローラ全体で真打ちはおそらくこれだ。

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