クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

ダメなカローラと良いカローラ池田直渡「週刊モータージャーナル」(6/6 ページ)

» 2019年10月07日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]
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 ついでツーリングのHV。ワゴンが少なくなった今、これが出てきたのは朗報だろう。運転するとセダンよりやはり少しだけ後ろが重い感じがするが、どっしり感が好印象ともいえる。車両の性格を考えるとこれも良いバランスだ。荷室の使い勝手は普通。バッテリーがあるので荷室の床下収納は実質ないが、そのほかに特に欠点は見当たらない。

リヤシートは6:4分割で、テールゲート横にシート折りたたみのレバーを装備する

 最後にハッチバックであるカローラ・スポーツのHVだ。筆者個人の好みとしてはこれが一番良かったが、昨今の世情では、Cセグメントのハッチバックはちょっと商品として角度が付きすぎており、多くの人にお勧めするものではない。が、自ら欲しいという人には唆(そそのか)したいくらいには良い。

 さて、このクラスの話でいつも話題になるのはゴルフを超えたか超えないか。正直なところ、一長一短。シートや空間の作り方あたりではゴルフが上、ステアリングのもてなし感というか、切り足して行くときの機械としての操作感の上質な感じなどはカローラの方が高い。先入観を捨ててみれば、カローラの方がもてなし感は全体に高い。

 車両価格を250万円もしくは、300万円のラインで切ってしまえば、それは言い換えればこのクラスを候補にする普通のユーザーの条件で見れば、エコ性能はカローラの圧勝だが、値段を気にしないなら向こうにはディーゼルもEVもある。

 過去の実績に鑑みれば、製品の耐久性もトヨタが圧勝。昔は「壊れるのは嫌だけれど、かといって完動時にフィールが悪いクルマに乗る気にならない」ということもいえたのだが、今世代の出来だと、完動時のフィールはいい勝負なので、信頼性の高さはプラスになるだろう。

 勝ったか負けたかは、買う人が何を大事にするかによるだろうが、少なくとも新世代カローラは世界のトップランクにいることは間違いない。

筆者プロフィール:池田直渡(いけだなおと)

 1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。

 以後、編集プロダクション、グラニテを設立し、クルマのメカニズムと開発思想や社会情勢の結びつきに着目して執筆活動を行う。


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