三輪: 糖尿病はずっと潜んで、忍び寄ってくる病気です。また、女性の場合は「妊娠糖尿病」にも注意が必要ですね。もともと糖尿病ではない方が、妊娠することで胎盤から出るホルモンが血糖値を下げにくくするために発症します。出産後には妊娠糖尿病は軽快することがほとんどですが、妊娠糖尿病と言われた人は、言われていない人よりも糖尿病になる確率が7倍くらい高いとみられているので要注意です。
金子: 私は糖尿病と診断された人が、治療を受けずに放置しているのも大きな問題だと感じています。若い世代の患者さんは忙しくて、病院に行こうと思ってもなかなか行けませんよね。待ち時間も長いですし、きちんと通院している患者さんはお年寄りばかりです。
日本には約10万軒のクリニックがありますが、95%が個人経営のクリニックです。しかも、開業医の約80%が50歳以上で、患者さんの75%以上も50歳以上。現在の日本のクリニックの多くは、高齢医師による高齢患者向けのサービスになっています。
この状況を変えて、若い患者さんでも、きちんと治療を受ける場を作りたい、そこには新たなテクノロジーを入れ込みたいと思って、スマートクリニックの「クリニックフォア」を作りました。
このスマートクリニックでやっていることは特別なことではありません。ネットで予約がとれて、キャッシュレスで支払いができ、検査結果はオンラインで共有します。どこに行ってもカルテが共有されているような状況を作る取り組みを進めています。
去年10月に田町に最初のクリニックを作りました。今年11月に新橋、12月に飯田橋に作る予定で、どんどん増やそうと思っています。80%以上の患者さんがオンラインで予約して来院されていて、待ち時間がなく、ネットで予約できて便利だったといった評価をいただいています。
患者さんは若い人が非常に多いです。働く世代にフォーカスしたクリニックを今後も展開していきたいと思っているところです。
堀江: こういうクリニックって、ありそうでなかったですよね。
金子: みんなあるといいなと思っていましたけど、開業するドクターは高齢の方が多いので、そこまでやる人がいなかったのではないでしょうか。
堀江: ファイナンスをつければ絶対にできるはずですよね。
金子: それはおっしゃる通りですね。まあ、医療の場合はドクターが必要だという前提があったりして、それが結構厄介なんですよ。
堀江: そうですよね。予防医療普及協会でも予防専門のクリニックをつくろうという話をしているんだけど、誰が管理医師をやるのかという話に絶対なってしまうので、それが問題ですよね。
金子: おっしゃる通りですね。
三輪: クリニックフォアには、せっかく若い世代が受診されているので、予防を働きかけることもできますね。
金子: ひとつの特徴は、オンラインで予約を取っていただいているので、こちらからも直接リーチが可能なことです。予防の啓発活動もできると思っています。スマホでライフログの管理もできれば、そこから早期介入もできるようになりますね。
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