――現時点では、東京2020パラリンピックの盛り上がりをどのように見ていますか。
パラリンピック本番になれば盛り上がると思いますが、いまの時点ではパラスポーツの大会を訪れても、多くの競技会場で観客は少ない状態ですね。
僕はパラリンピックには、この先2つの道があると思っています。1つはいまの形が続くことです。パラリンピックは、イギリスのストーク・マンデビル病院のグットマン博士が、脊髄損傷患者のリハビリにスポーツを取り入れ、スポーツによって自信を得て社会復帰させるために始まりました。
今の形で盛り上がらない要因を考えてみると、例えばパラ陸上の世界大会では、1時間のうち約20分間は表彰式が占めます。というのも、100メートル走ひとつをとっても、障害の程度によってたくさんの種目があるからです。東京2020パラリンピックでは、100メートル走の男子だけで16種目ありますので、それだけで48個のメダルが贈られます。表彰式の長さがエンターテインメントとしては物足りなくしているのかもしれません。
もう1つの道は、現在のオリンピックのようにエンターテインメントを突き詰めるものです。オリンピックでは100メートル走のフライングは1回までとするなど、時間短縮を図って試合を面白くしてきた歴史があります。
パラリンピックがこの道に進むのであれば、競技ごとの種目の数を減らす必要があるでしょう。しかし、それでは「障害のある多くの人にスポーツの機会を」という理念から外れます。2つの道のどちらを選ぶかは難しい判断だと思いますが、少し変えていくだけでもパラリンピックをもっと面白く見てもらうことは可能だと思っています。
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