――オリンピックと一緒にパラリンピックの浸透を図るにはどうすればいいと思いますか。
近代オリンピックを提唱したクーベルタン男爵が語った理念の1つは、若者に対する教育でした。心身ともに健康であるために、教育にスポーツを取り入れる考え方です。だから若くて元気な選手が中心のオリンピックから得られる感動は、ぜひ子どもたちに見てもらいたいと思っています。
一方のパラリンピックは、高齢化社会がどのような形になっていくのかについて、1つのモデルを見ることができるという気がしています。
先進国の平均年齢が上がってくると、メインのスポーツは100メートル走ではないですよね。全力疾走は20代くらいまでしかできませんから、鑑賞する対象にしかなりません。
パラスポーツは、困難を抱えながら過ごしている人によるものです。日本にも実際に、足が痛いとか薬を飲まないといけないとか、健常ではない状態の高齢者がかなりいるはずです。(パラスポーツは)その人たちができなくなったことではなく、できることにフォーカスしていると言えます。
つまり、パラリンピックの方がより多くの人のシンパシーを得られる可能性があるのではないでしょうか。言葉はよくないかもしれませんが、スポーツをしながら明るく生活しているパラリンピアンの姿を発信することが、高齢化社会を迎える全ての先進国に希望をもたらすメッセージになると思っています。
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