――東京2020パラリンピックに、どんな期待を持っていますか。
多様性、ダイバーシティーが本質的に許容される社会を作るには、いまの日本の社会は恵まれている状況だと思っています。ダイバーシティーという言葉は、人種や性別、国籍などについて語られることが多いですが、障害がある人は手がない、足がないといった世界なので、ダイバーシティーの度合いが違います。ダイバーシティーの範囲を障害のある人や高齢者まで捉えて、あらゆる人がそれなりに幸せに暮らせるような形を、東京が作れたらいいなと期待しています。
大会の運営面では、大企業が推進するオリンピックに比べて、もう少し草の根的にいろいろなことができると思っています。
2024年のパリオリンピックは、全体の予算の25%をソーシャルビジネスやローカルな中小企業に振り分けると宣言しています。日本でいまから予算を振り分けろと言うと怒られるかもしれませんが、草の根的に自分たちなりにできることを考えるのも、楽しみ方としていいのではないかと思います。
――大会の成功を考えたときには、パラリンピックの競技会場が満員になるかどうかも重要だと思いますが。
東京2020はオリンピックのチケットが取れたらラッキーという話ですよね。パラリンピックはそこまでの倍率にはならないと思いますので、ぜひ会場に足を運んでほしいです。
先ほど表彰式が長いという話をしましたが、もちろん見て面白い競技がたくさんあります。車いすバスケットボールや車いすラグビー、陸上の100メートルや走り幅跳びなどは、非常に競技レベルが高いです。実際に見ると、人間の可能性の大きさを感じることができると思うので、ぜひ見てもらいたいですね。
田中圭太郎(たなか けいたろう)
1973年生まれ。早稲田大学第一文学部東洋哲学専修卒。大分放送を経て2016年4月からフリーランス。雑誌・webで警察不祥事、労働問題、教育、政治、経済、パラリンピックなど幅広いテーマで執筆。「スポーツ報知大相撲ジャーナル」で相撲記事も担当。Webサイトはhttp://tanakakeitaro.link/
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