実は今でこそ「懐かし〜、最近あんま見ないね」なんてことを言われる小僧寿しだが、実はかつては外食業界のセブンのような存在だった。
1972年に設立後、高度経済成長の波に乗って拡大路線をひた走り、79年には売上高531億円をあげ外食産業日本一の規模に輝くと、87年には、なんと全国で2300店舗を展開した。
ライバルの京樽でさえ現在332店舗、回転寿司業界店舗数1位のスシローでさえ全国で531店舗というスケール感から、これがセブンのコンビニ2万店と肩を並べる「全国制覇」だということがご理解いただけるだろう。
だが、そんな栄華を誇った小僧寿しも近年は、不採算店の閉鎖が進行して、現在は「直営店96店 FC125店」(同社Webサイト)あたりに落ち着いている。では、なぜここまで「縮小」したのか。もちろん、競合の台頭、回転寿司市場の活況など、いろいろな要素はあるのだが、一つには経営陣が、「ドミナント戦略」に固執したことがある。
小僧寿しの創業者、山木益次氏が2004年に出版した『強さと弱さ 小僧寿しチェーンの秘密』(ストーク)によれば、91年、小僧寿しの利用客の33%は、徒歩や自転車で3分以内から来店していた。しかし、03年になるとこの層が72%に増加。その半面、自動車で5分以上かけてくる利用客も激減していた。
つまり、「商圏」が縮小していたというのだ。
商圏が小さくなって近場の客は増えているにもかかわらず、売り上げにあらわれていないということは、もっと集中的に出店していく必要がある――。こうして、先の永松社長と同じような結論に至った、山木氏は、セブンをお手本として、ドミナント戦略へと突き進んでいくのである。
で、その結果が「今」である。ということは、不採算店閉鎖を進めながらまだなおドミナント戦略に色気を見せているセブンも同じ道をたどる可能性が高いということだ。
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