眠りに合わせてベッドが動く “眠りの自動運転”でパラマウントベッドが描くものコンシューマー向け事業で好調(1/2 ページ)

» 2019年10月21日 15時27分 公開
[鬼頭勇大ITmedia]

 医療や介護用ベッドを手掛けるパラマウントベッドが、一般家庭向け商品を強化している。ブランド名は「Active Sleep」。IoTを前面に打ち出し、“眠りの自動運転”を標榜する。

 Active Sleepでは、ユーザーの脈拍数や呼吸数をリアルタイムで分析し、ベッドの傾きやマットレスの硬さを調節する。担当者によると睡眠には、入眠時や熟睡時など、それぞれの段階によって適した体勢があるのだという。例えば、入眠時にはフラットな体勢よりも上半身をやや起こした体勢の方が適している。姿勢を起こすことで呼吸がしやすくなるのだそう。この状態からユーザーの睡眠が深くなるにつれて、フラットな体勢へとベッドが動いていく。動く速度は1分間に1度ほどで、睡眠を妨げないように平坦になっていく。起床時には睡眠が浅くなったタイミングに合わせて、徐々に体を起こしていくように動き、すっきりとした目覚めを実現できるという。

ユーザーの状態に合わせてベッドが動く
心拍数や脈拍からモニタリング

 ユーザーの睡眠状況に関する分析は、ベッドのマットレス下に設置された「Active Sleep ANALYZER」で行う。担当者は「分析の精度では他のサービスに負ける気がしない」と胸を張る。睡眠状態は「脳波」で最も正確に測れるとのことで、それと比較した際にも99%以上の合致率だったという。

 同社はこれまで医療用や介護用のベッドで成長を続けてきた。一方で、直近の2019年3月期決算を見てみると、同分野での伸び悩みが目立つ。医療施設向け事業では、売り上げが前期比3%の増加。高齢者施設事業では、売り上げが前期比7%のマイナス成長となっている。16年から21年の期間を対象にした中期経営計画で「新たな成長の芽となる技術の開発とビジネスモデルの創造」と掲げている通り、新たな“稼ぎ頭”が求まれる状況に置かれていた。

 そんな中、コンシューマー向け事業が成長を続ける。直近の売り上げは、10億4700万円と前期比28%の成長だ。ベッドの販売台数も、17年3月期から18年3月期にかけて4倍に増えている。「医療介護分野で培った技術で、新たな柱を作りたいと考えていた。特にベッドが動いたときの体への負担や、ずり落ちないようにする技術などには自信がある」と担当者。19年度中に5〜6億円規模の売り上げまで伸ばすことを目標にしている。ベッドを販売するだけでなく、ユーザーからデータの取得も行っている。今後はパーソナリティーに合わせたサービスなども出てきそうだ。

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