「無駄なことをやり続ける」 喫茶店不況の中、創業55年のレトロ喫茶が人気のわけ1964年から2020年へ(3/5 ページ)

» 2019年10月28日 06時00分 公開
[鬼頭勇大ITmedia]

あえて非効率に

 珈琲西武がこだわっているのが「非効率」だ。「言葉を選ばず言えば、極力無駄なことをやろう、というのが大きなこだわり。だから、手作りできるものは手作りをする」(村山氏)。

 例えば、「自家製プリンのプリン・ア・ラ・モード」(1300円、税込)に使われるプリンは、読んで字のごとくシェフが手作りしている。これだけでは「別に普通じゃないか」と思う人もいるかもしれない。ただ、「プリンだけ」の商品は存在せず、プリン・ア・ラ・モードでしか使われないというから驚きだ。「プリン・ア・ラ・モードが注文されなければ無駄になってしまうかもしれない。しかし、商品に自信があるからこそこうした思い切ったことができる」と村山氏。

さまざまなこだわりはメニューに記載されている
メニューの一部

 今ではコーヒーに欠かせないものといっても良いガムシロップも、毎日水と砂糖から手作りしている。モーニングなど、料理のプレートで付け合わせとして提供されるポテトサラダも手作りだ。

 ガムシロップもポテトサラダも、多くの店では既製品を仕入れて使用している。「そうしたものを使うことももちろん否定しない。ただ、そうすると『文句』はないけど『感動』は生まれない。例えば『このポテトサラダ、お母さんの味に似ているな』と思ってもらうことができたら、きっと当店の魅力が伝わる」と村山氏は話す。

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