クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

「超小型EV」でEVビジネスを変えるトヨタの奇策池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/5 ページ)

» 2019年10月30日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

EVマーケットの構造

 ファミリーカーとしてのEVにとって致命的なのは価格で、いわゆる家族のためのクルマとして使えるものは、日産リーフの330万円が最廉価。同じリーフでも上は451万円になる。その価格に手が届く人はいいだろうが、全部が全部そうではない。普及ということを考えれば、やはり250万円というラインがひとつの目安だろう。トヨタのプリウスやノア/ヴォクシーなど、家族向け用途で売れているクルマの中心価格はそのあたりだ。

 「EVの中古なら安くてお買い得じゃないか?」という人がいるが、ついこの間までシェア0.1%だったEVのユーズドカーの市中在庫が豊富かどうかは、議論の余地があるようには思えない。

 しかも安いのはバッテリーの劣化で航続距離が激減しているからだ。過疎地在住でガソリンスタンドが近隣から撤退してしまい、今や充電の方が便利だし、行き先も病院とスーパー程度で長距離乗らないという人が安く購入するには、運良く面白いソリューションになるかもしれないが、とても一般に勧められる話ではない。

 ということで、EVはファミリーカーとしてはまだ価格が高い。バッテリー単体の価格が200万円から300万円くらいといわれている現状では、この価格はいかんともしがたい。しかも現実的な運用を考えれば、戸建てで自分専用の充電器を完備し、夜間に低速充電して使うのが基本中の基本。家に充電器がないとすれば、会社の役員か何かで、マイカー通勤をして勤務時間に会社の充電器を独占できる雲上人でもなければ維持は相当に難しい。

 それでも強硬なEV原理主義者の人はいる。

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