クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

マツダのEVは何が新しいのか?(前編)池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/5 ページ)

» 2019年10月28日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

 10月24日から11月4日まで、東京ビッグサイトで開催されている東京モーターショーの見どころを紹介していきたい。

 第一弾は、今や極めて少数になった東京ショーのワールドプレミア。つまりこのショーで世界初お目見えになるモデルだが、それは同時にマツダ初のEVでもある。マツダMX-30である。

マツダ初のEV、MX-30

 古の時代はさておき、現在の流れにつながるという意味で、世の中に第1期生のEVが誕生したのが2010年頃。具体的にいえばそれは日産リーフとテスラ・Model Sのデビューが契機だろう。そこから10年。EV時代到来がいわれ続け、しかしその割には普及しない。

EVの10年

 EVの現状は、自動車全体に対して1%少々というところだろう。書き方が曖昧なのは統計がグダグダだからで、純粋なBEV(バッテリー電気自動車)の統計が少なく、なぜかエンジン付きのPHEV(プラグインハイブリッド車)と合わせた数でまとめたがる。少しでも数を大きく見せたいならいっそHV(ハイブリッド車)も一緒にカウントして、電動化モデル全部で評価すればいいのだが、なぜかEVクラスターの人はHVを敵対視する。というわけでEVにはなぜかPHEVだけがカウントされるという奇妙な現象が頻発するのだ。余談として書けば、PHEVとHVの違いはバッテリーのサイズだけだ。仕組みも構造も一緒。ただし、PHEVは充電が可能。おそらくそこを指してBEVの仲間だといいたいのだろう。

 さてさて、ではこの10年、BEVの歴史とは何だったかといえば、常にその中心にあったのは航続距離競争であった。航続距離競争とはとりもなおさずバッテリー容量の競争なので、誰が一番デカいバッテリーを積むかの競争だったということでもある。プレミアムEVクラスは60〜100kWhの大容量を搭載するし、スタンダートEVクラスは、40〜60kWhあたりで争う。

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