クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

マツダのEVは何が新しいのか?(前編)池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/5 ページ)

» 2019年10月28日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

どこよりも小さいバッテリーのEV

 マツダは今回MX-30の開発にあたって、「航続距離で戦うな」という指令をスタートラインにした。基本に立ち返れば、EVとは、環境保護のための技術であり、当然限られたエネルギーをいかに効率良く使うかということになる。電池切れを恐れるあまり重い電池を大量搭載して、加速の度にエネルギーを余分に使うのは、やはりどこかブラックジョークめいている。

 日々の走行距離はクルマが使われている地域によって異なる。年間に直せば分かりやすいが、普通の人が1万キロ(27.8キロ/日)、多い人でも2万キロ(55.6キロ/日)くらいが現実的な線で、あとはイレギュラーなたまの1日のためにどれだけ備えるかになる。

MX-30のシャーシ

 問題は、その備えが車両価格に大きすぎる影響を与えることだ。例えとして日産リーフを見てみると、大小2つあるバッテリーの小さい方の最廉価モデルが330万円。バッテリー容量は40kWh、航続距離がWLTCモードで322キロとなる。一方で、バッテリーが大きい方の最廉価モデルは424万円で、バッテリー容量は62kWh。航続距離はWLTCモードで458キロだ。

 もちろん厳密にいえばバッテリーのサイズが変われば電力のマネジメントも変わり、加速性能も変わる。装備だって全く同じということでもないので、あくまでもざっくりした数字上の話だが、バッテリー容量差12kWhで価格差が94万円、航続距離差が136キロだ。

 マツダはリーフの小さい方より、さらに4.5kWh小さい35.5kWhのバッテリーを搭載した。航続距離はNEDC(新欧州ドライビング・サイクル)で、210キロと聞くが、すでに出回っている記事によっては200キロの表記もある。いずれ正式発表があるだろう。

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