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働き方改革に成功している企業は株価が上昇 「効率」「時短」より重要なものとは?「働きがいのある会社」調査結果を分析(2/3 ページ)

» 2019年10月31日 09時59分 公開
[鬼頭勇大ITmedia]

キーワードは「信用」

 GPTWジャパンによると、やりがいが改善された企業とそうでない企業との差は、「信用」にあった。両企業でスコアに差が付いた項目を見ると、「経営・管理者層は重要な事柄や変化について、きちんと従業員に伝えている」「経営・管理者層は、言うこととやることが一致している」など、信用に関する評価が上位を占めている。

やりがい改善はここで差が付く

 GPTWジャパンの今野敦子シニアコンサルタントは「企業が注力しているのは『労働時間の削減』が多い」と分析している。厚生労働省の掲げる働き方改革は、日本の労働力人口の減少を受けて、労働生産性の向上を目的にしている。そのための手段が、「長時間労働の是正」「同一労働同一賃金の実現」「柔軟な働き方の実現」の3つだ。しかし「生産性」「効率」といった面にばかりスポットライトが当たってしまい、ただ労働時間を短くすれば良い、と企業ではなりがちだ。「効率性を追求するあまり『無駄』として切り捨てられるものがどんどん積もり、息苦しくなっているのでは。例えば上司との面談も、業務に直接的な関係はないと見られがちだが、やりがいを高める上では本来必要なもの」と今野氏。

 このような状況を受けて、企業におけるコミュニケーションの重要性が増している。実際、働きがいのある会社として認定される企業も、コミュニケーションに重きを置くところが多い。

 例えば、東京海上日動システムズ(東京都多摩市)では、「That's談 with P」という制度を導入している。同社は合併を経て、さまざまな企業のカルチャーが入り交じり、コミュニケーション面に課題を抱えていたという。そこで、1週間に2回程度社員と社長が雑談できる同制度を導入。オフィシャルでない場で社長自らメッセージを伝えたり、雑談したりすることでやりがいも向上。10年連続でベストカンパニーにランクインしている。

 また、経費管理などのクラウドサービスを提供するコンカー(東京都中央区)では、社員同士でグループを結成。3カ月に一度、決められたテーマに沿って各グループが好きな活動をする制度を取っている。活動費用は会社負担で、各社員がコミュニケーションを深められる制度だ。プロレスを見に行ったりサバイバルゲームを楽しんだりと内容は多岐にわたるという。同社は19年調査の、社員数100〜999人企業が属する中規模企業部門ランキングで、1位に輝いている。

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