インフレリスクとは預金や国債といった、現金に近い性質を持つ金融商品が、物価の上昇によって価値を失ってしまうというリスクである。
物価の上昇率よりも、運用している商品の利回りが小さければ、10年後に1万円が手元に戻っても、その1万円と利息では、10年前と同じものは買えなくなってしまう。
足元では、日本銀行が年率2%の物価上昇を目標として掲げているが、これが実現された場合、お金の価値が年率2%で目減りすることを示している。そう考えたときに、利回りが物価上昇率未満の金融商品に資産を預けてしまえば、実質的な元本の目減りが発生する。
元本が保証され、年率2%を達成できる金融商品はほとんどないといっていい。そうすると、今後インフレーションを見込むのであれば、資産構成を現金や国債などから、金などの実物資産・株式・不動産といった資産に一定程度振り分けて、リスクをコントロールし、物価上昇に強い構成にしていく必要がある。
政府が、つみたてNISAや個人型確定拠出年金(iDeCo)といった資産運用に税制優遇をもたらす政策を取っているのも、今後の物価上昇に家計が耐えられるような資産構成づくりをサポートするという意図があるのではないだろうか。
過度に元本を守ろうとして損害を被ってしまえば元も子もない。元本保証型の商品を語る上では、信用リスクだけでなく、インフレーションリスクまで踏み込んだ理解が求められる。
中央大学法学部卒業後、Fintechベンチャーに入社し、グループ証券会社の設立を支援した。現在は法人向け事業コンサルティングを行う傍ら、オコスモの代表としてメディア記事の執筆・監修を手掛けている。
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