「空」で開催されたイベントでは、誰も見たことのない食のエンターテインメントショーが繰り広げられた。カウンターキッチンに立つ浜田と堀江が、最高級の和牛を使った料理を次々と作っていく。和牛を生地に練り込んだクロワッサンや和牛のラーメンなど、今までの和牛料理になかったメニューも提案した。
「このときのパフォーマンスは、今やっていることが凝縮されたような内容です。イベント自体には儲(もう)けもなく、店舗を作ることも全く考えていませんでしたね。それでも和牛をPRできて、世界中のシェフが和牛を使ってくれたらいいなと考えて、世界ツアーを始めました」
その後はヨーロッパやアメリカ(米国)を始め、アジア、中東も含めた各都市で、有名シェフとともに和牛料理のポップアップイベントを開催した。イベントは16年3月から19年9月までの間で85都市に及んでいる。
あわせて、イベントで知り合ったシェフや関係者のレストランに、最高級の尾崎牛や神戸牛を卸すようになった。輸出する国は徐々に増えていくようになる。
ここでWAGYUMAFIAに一つの疑問が湧く――。なぜ堀江がWAGYUMAFIAに注力するようになったのかという疑問だ。もともと堀江は、和牛にそれほど興味を示していなかった。また、飲食は儲からないと思っていたようで、自分の名前が商売に利用されることには慎重だったようだ。浜田に、堀江が一緒にやるようになった背景を聞いてみた。
「彼とは2つのことを一緒に始めました。一つがトライアスロンで、もう一つが料理です。最初に『和牛一本で勝負したい』と話したときは、全くピンとこなかったみたいで、『儲(もう)かる気がしない』と言われました。今だと信じられないですよね(笑)。
彼から『何でやりたいの』と聞かれて、『俺はもう世界一しか興味がない。人生の中で一度は世界一をとってみたい。それが和牛なんだ』と答えました。おそらく、その言葉が少し彼に響いたのではないでしょうか。半年後に『堀江がテレビで和牛の話をしている』と誰かから聞きました。祇園のプロジェクトの話をもってきたのも彼です。それからは一緒に世界を飛び回っています」
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