「売る人」がいないJ-REIT 好循環の中、リスクはどこに?(4/4 ページ)

» 2019年11月11日 07時04分 公開
[斎藤健二ITmedia]
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投資先としてのJ-REIT

 ではJ-REIT市場の今後をどう見たらいいのだろうか? 一つは、REIT先進国の米国との違いだ。日本のJ−REIT市場は約17兆円だが、米国市場は100兆円を超えている。「不動産市場は国の規模に比例する。J-REITの市場は25-30兆円くらいまであっておかしくない」と秋山氏はポテンシャルを語る。

 米国では、REITといっても用途ごとに別の銘柄が上場している。住宅やオフィスだけでなく、商業施設、物流施設、データセンター、ヘルスケアなど、ジャンルに特化したREITが存在する。これは米国市場だけの特徴で、ほかの市場のREITはたいていが総合型だ。

 しかし日本でも、用途特化型のREITが存在感を増してきている。「データセンターは米国のデジタルリアリティが進出してきている。モデルは、物流施設に特化した日本のREITプロロジスと同様だ。もう一つはヘルスケア。現在もいくつかあるが、介護施設がほとんど。介護施設は一軒の額も小さいし、賃料も上げにくい。そこにやっと病院が入り始めた。これまでは医者が病院を保有して経営していたのが、事業と不動産運営に分離しつつある」

 過熱感もささやかれるJ-REITだが、投資環境としてはどうか。「東証REIT指数は07年5月に最高値 (配当除外)を付けた。その最高値を超える可能性が出てきた。最高値を超えてもバブルではない。07年当時、時価総額は7兆円程度だったが、いまは17兆円だ。過熱感があって警戒感を持つ人も多いが、質が変わってきている。ここまで価格が上がった段階でいうと、5年10年のスパンで考えられる人なら今買っても大丈夫だ」

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