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日本企業は社員の「忠誠心」に甘えている 働きがいのある会社、コンカーのトップが警鐘人材流出企業にならないためにすべきこと(6/7 ページ)

» 2019年11月12日 08時00分 公開
[後藤祥子ITmedia]

「働きがいのない会社」は経営者に危機感がない

――: 「働きがい」をよくしていかないと、優秀な人材を採用できないだけでなく、「優秀な人材が流出して会社が滅びる」ようなことになりかねない、と。

三村: そうですね。日本の働き方改革を見ていると、「働き方改革のための働き方改革」といった様相を呈していて、本来、重視すべき「何のためにやっているのか」が、見失われている気がするんです。「長時間労働を抑制しなければならない」とか「ITを使って働く場所をフレキシブルにしよう」といったように、テクニカルな方に向かいがちですよね。

 私は、こうなってしまうのは「経営者の関心の薄さ」が原因だと思うんです。

――: 自社の現状と課題について、経営者がきちんと把握していない。

三村: そうですね。あとは、「人による競争力の最大化」という観点が希薄なのだと思います。私は、ここについて、とても関心が高いので、それなりの時間とエネルギーと経営資源を使って取り組んでいます。

――: 具体的には、社長としてどんな取り組みをしているのですか。

三村: いろいろなことをやっています。

 前提として私たちは、3つのドライバーが順に活性化することで、働きがいが生まれると思っているんです。1つ目が「夢や志、大義と一体感を持てるか」。つまり、自分の仕事が会社の大義に貢献できているという実感を持つことです。その上で、経営者と同じ高さの視座を持ってもらい、自分の役割を超えた活動を自発的に行えるかどうか。それができた上で、成果や失敗を通じた成長の実感を社員に持ってもらう。

 働きがいのある企業になるための仮説として「成長の実感が働きがいにつながる」というものがあると思っていて、その柱となる「コンカージャパンビリーフ」という信念、「高め合う文化」というカルチャーを浸透させるために、私がリーダーシップを取って、折に触れ、社員と共有するようにしています。

Photo 働きがいを高めるためのコンカーの取り組み。フレームワークは三村氏が自ら設計している

 ただ、ミッション、ビジョンを掲げただけだと自分の立ち位置が分かりづらいので、ビジョンからブレークダウンした形で「戦略は今、このようなもので、事業の状況はこのように進展している。課題としては、このようなものがある」――ということを、つまびらかにしています。それを四半期に1回、社員に対して経営情報を開示する半日のセッションという形で行っています。

 実際、多くの時間がかかっていますが、社員が“本社よりも重要なステークホルダー”だと思っているので、できるだけ会社の情報を開示して、働きがいについて一緒に考えていきたいと思っています。

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