リテール大革命

2週間で開業した「ロボットコンビニ」 無人店舗の“その先”をつくれるか続々進む「無人」と「省人」 気になるお店の狙いを探る(2/3 ページ)

» 2019年11月13日 07時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]

準備期間はわずか2週間

 ロボットマートを運営するロボットセキュリティポリスは、ロボットに関するコンサルティングサービスやシステム開発などを手掛ける。18年、同社に出資するパートナー企業と共に中国を訪問したことが、出店のきっかけとなった。現地で増えている無人店舗を体感して、「当社はロボット開発や監視システムのノウハウがある。日本でも無人店舗をできるのではないか、という話になった」と、ロボットマートを担当する吉田祥平氏は説明する。

 そして帰国後、すぐに開店準備に着手。なんと、わずか2週間でオープンにこぎ着けた。

 なぜそんな短期間で開業できたのか。大きな理由は、無人化を実現するためのセルフレジや監視システムを構築する技術をすでに持っていたからだ。元コーヒーショップの居抜き物件を借り、什器(じゅうき)を入れ、商品を仕入れる作業を「大手にはないスピード感」で実行。「(路面店として)“日本初”にこだわりたかった」(吉田氏)からだ。

ロボットマートの店内。飲料やお菓子が中心

 唯一難しかったのは、流通や物流に関する部分。企業として小売業の経験がなかったため、取引先を探すことから始める必要があった。そのため、大手コンビニのように、あらゆる商品を豊富に取りそろえているわけではない。それでも、少しでも安く仕入れることができる仕入れ先を開拓し、商品価格に反映させているという。

 一方、システムの面では、もともとノウハウがあったこともあり、セルフレジの画像認識の精度は「95%以上正確に認識できる」(吉田氏)という。また、バックヤードで社員が勤務しているため、不具合などがあればすぐに対応できる。

レジの隣の冷蔵庫に、商品を認識するカメラが取り付けられている

 オープンから1年強たった現在、平日は1日100〜200人が来店。そのうち、50〜100人が購入していく。ビジネスパーソンが出社前などに立ち寄り、他店より安い100円のペットボトル飲料などを購入する姿が見られるという。休日は客数が減るが、外国人観光客などが珍しがって入ってくることも多い。

 現在は販売していない弁当やおにぎりについても「ニーズは大きい。需要に合わせて販売できるように考えていく」(吉田氏)方針だ。

 また、決済方法が少ない点も改善を目指す。キャッシュレス決済の手段は広がっていることから、PayPay以外のスマホ決済サービスなどへも対応を進めていく。また、専用アプリについても、多店舗展開を見据えて機能の拡充を検討。「アプリを入れた方がお得」と感じられるようなものにしていくという。

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