このQuon Concept 202Xは、ドライバーと歩行者とのつながりを意識して開発された近未来型のコンセプトトラックで、今回筆者が注目したしゃべる機能以外にも、AIやタブレット端末によるパーソナライゼーション(各ドライバーに向けた自動カスタマイズ機能)、カメラモニタリングシステムといった、近い将来実用化され得る先進のテクノロジーがふんだんに搭載されていた。
東京モーターショーの青海会場に勢ぞろいしていた「働く車両」の中でも、このQuon Concept 202Xがひときわ異彩を放っていたのは、迫力あるフロントグリルと、カラフルな文字ディスプレイ、そして音声での「意思表示」機能だった。
現在、一部の配送トラックにも、「バックします、ご注意ください」と音声案内する車両はある。だが、このQuon Concept 202Xには、従来車と一線を画すポイントとして、音声だけでなく、「緊急停止します」「お先にどうぞ」「点検中」などの文字(日本語・英語)を表示すると同時に、それぞれの言葉に意味付けされた「色」をグリルやサイドに光らせ、道路使用者へのより細かな意思伝達を図る点があげられる。
モーターショーで展示されていたこのトラックは各ボタンが車外に設置されており、それを押すことでそれぞれの言葉をトラックにしゃべらせていたが、実装されれば無論、車内からドライバーの意思を伝えることができる。
こうした「しゃべる車両」を開発したのが、乗用車メーカーではなくトラックメーカーであったこともうなずける。
一般的にトラックは、その図体(ずうたい)と構造から乗用車以上に死角が多く、事故が起きると乗用車以上に被害が大きくなる。そのため、こうして音声や文字表記で相手に注意を促したり、ドライバーの意思を伝えたりすることは、乗用車以上に大きな意味を持つのだ。
こうした機能が付いたトラックが将来一般化すれば、コミュニケーションの齟齬(そご)やストレスは大きく軽減され、関連する事故も未然に防げるといった期待が持てるだろう。
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