それにしても、なぜカップ焼きそばを焼いてつくってみたのか? 山氏は次のように話す。
「17年末のある日の酒の席で、どういうわけか、カップ焼きそばは焼いてつくらないことが話題になりました。これが発端になって一度焼いて食べてみることになり、その日のうちに家で『ペヤング ソース焼きそば』をフライパンで焼いてつくってみたところ、すごくおいしいものができたんです。焼いたらおいしくなることが分かったので、誰にでもつくれる『焼きペヤングメーカー』をつくることを思い立ちました」
そのときは、袋麺のインスタント焼きそばと同じような要領で、「ペヤング ソース焼きそば」をつくったが、生麺を焼いたような感じになった。カップ焼きそばとはまったく別物に感じられたほどだったという。
通常のペヤングと「焼きペヤングメーカー」でつくったペヤングの比較。「焼きペヤングメーカー」でつくったペヤングのほうが香ばしく、麺がソースをよく吸ってくれる
数あるカップ焼きそばの中でも「ペヤング ソース焼きそば」を選んだのは、ピーナッツクラブとまるか食品が取引関係にあるからだけではなかった。実は「ペヤング ソース焼きそば」以外にも、日清食品の「U.F.O.」も焼いてつくってみたが、ソースの味が強すぎ味が濃いことから「ペヤング ソース焼きそば」を選択した。
しかし、ライソンは大阪の会社であり、山氏も大阪出身。関西ではカップ焼きそばといえば「U.F.O.」のほうが高く支持されている。カップ焼きそばは「U.F.O.」で育ちペヤングにあまり馴染みがなかった山氏は、社会人になってから「ペヤング ソース焼きそば」に関するあることで驚かされていた。
「社会人になって関東の人と話す機会が増えると、ペヤング愛が強いことがわかりました。関西人はかなり『U.F.O.』好きですが、それと比べると関東人の『ペヤング ソース焼きそば』好きは異常なほどです」(山氏)
熱狂的なファンやマニアがいて、サイズやフレーバーでユニークな試みを連発しているペヤングなら、話題性十分。18年初頭にたまたまピーナッツクラブを訪れたまるか食品の丸橋嘉一社長に、「焼きペヤングメーカー」の企画を提案したところ、OKの返事が得られたことから、「焼きペヤングメーカー」を開発・販売することにした。
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