東京大学は「中国人は採用しない」とツイートした特任准教授の懲戒解雇は可能か?専門家のイロメガネ(3/5 ページ)

» 2019年12月03日 09時40分 公開
[榊裕葵ITmedia]

業務外の行為での懲戒処分が可能か

 就業規則に懲戒に関する定めがあったとして、私生活の不適切な行為に関して懲戒処分を行うことができるのかどうかが次の論点になります。

 上記の就業規則は原則として学内で勤務をすることに対して適用されます。学内でハラスメントを行ったとか、大学の金品を横領したとかなどであれば、間違いなく懲戒処分の適用対象となります。

 しかし、今回大澤氏が行ったことは、個人アカウントのツイッターにおける不適切投稿です。内容も東京大学に直接関係があることではなく、自分が経営する会社の採用に関することであるので、大学の就業規則で懲戒処分をすることについては慎重に検討しなけばなりません。

 一般論として、勤務先による私生活への過大な干渉を認めると、労働者の私生活の自由を侵害してしまうことになります。就業規則による私生活への制限は、懲戒処分に限らず最小限にとどめなければならないのです。

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