つまり、どのようにバランスをとって考えるべきか? ということになります。過去の裁判例などを踏まえると、私生活上の行為であったとしても、結果的に勤務先の名誉や信用を棄損したり、企業秩序に影響を与えたりした場合には、懲戒処分を行うことが許されるとしています。
例えば、鉄道会社の職員が痴漢で逮捕された事例や、バスの運転士が私生活上の飲酒運転で逮捕された事例など、勤務先の業務に悪影響があると考えられる場合では、懲戒解雇は有効という判決が出ています。
今回の大澤氏の投稿も、国立大学の特任准教授という立場の重さや、国籍を含む、あらゆる形態の差別や不寛容を許さないという大学のポリシーに真正面から反する発言をしたことを鑑みると、東京大学が大澤氏に対して懲戒処分を行うことは、客観的に見ても合理性はあると考えられます。
大澤氏の発言を受け、同氏が講師を務める情報学環の「情報経済AIソリューション寄付講座」に対して、マネックスグループなど寄付を行っていた複数の企業がその打ち切りを表明し、経済的損害の発生に直面していることも懲戒処分の有効性を補強する事実となるでしょう。
「東京大学教職員就業規則」第38条において、
(3)故意又は重大な過失により大学法人に損害を与えた場合
(5)大学法人の名誉又は信用を著しく傷つけた場合
については、明確に懲戒事由として定められています。
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