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» 2019年12月03日 09時40分 公開

専門家のイロメガネ:東京大学は「中国人は採用しない」とツイートした特任准教授の懲戒解雇は可能か? (2/5)

[榊裕葵,ITmedia]

東京大学による懲戒処分の可能性

 東京大学は今後、使用者の立場から教職員(労働者)である大澤氏に対して何らかの処分を行う可能性があると考えられます。世論としては「当然、解雇すべき」という声も強いでしょう。すでにDaisyとの取引中止を明言した企業もあります。

 ただ、本稿では社会保険労務士として客観的な立場から、労働者に対して最も重い処分とされる懲戒解雇が可能かどうか、執筆時点で把握可能な情報の範囲で、法的視点を踏まえて分析してみたいと思います。

就業規則に懲戒に関する定めがあるか

 労働者に不正行為などがあった場合、使用者は当然に何らかの懲戒処分を行えると多くの方が思っていると思います。

 ところが、実はこの認識は誤りなのです。

 使用者は、あらかじめ就業規則に懲戒に関する定めをしておかなければ、労働者に対して懲戒処分をしてはならず、また、懲戒処分を行う場合は、就業規則で定められた手順や内容に基づかなければなりません。

 国の法律である刑法においても、基本的人権を守るために「罪刑法定主義」という考え方があります。国家権力が勝手気ままに国民に刑事罰を課すことはできず、刑法などの法律であらかじめ犯罪行為と定められた行為を行った場合にのみ刑事罰を受け、罰の重さについても、刑法などで定められた範囲を逸脱することは許されません。

 この考え方と同じように、いわば会社の法律が「就業規則」であるため、労働者が不意打ち的に懲戒処分を受けることがないよう、労働者を守るために、就業規則に定めが無ければ懲戒処分は行ってはならない旨が労働基準法で定められているのです。

 就業規則が未作成の会社や、作成済みであっても労働者に周知がされていない会社は、労働者がどんなに重い犯罪行為を行ったり、重大な損害を与えたりしても、懲戒解雇を含む懲戒処分を行うことはできません(一般的な労働契約の解消である普通解雇は可能)。

 東京大学においては「東京大学教職員就業規則」の第8章に、懲戒処分に関する規定が設けられています。また、大澤氏に適用される「東京大学特定有期雇用教職員の就業に関する規程」が東京大学教職員就業規則を準用しているので、大澤氏にも、この懲戒に関する規定が適用されることとなります。少なくとも「懲戒処分を行えるか?」という議論の土俵に乗せることは可能です。

「東京大学教職員就業規則」の第8章

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