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» 2019年12月03日 06時00分 公開

調査データから明らかに:就活で「やりたいこと」は本当に必要か――学生が企業に“幻滅”しないために (4/4)

[小林祐児,パーソル総合研究所]
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真の問題は入社後の「こんなはずじゃない」

 どうやら、学生生活全体の過ごし方が差を分けていました。しかし、「やりたいこと」という内発的な動機は、全ての人に見つかるわけではありません。また、「必ず見つけなければいけない」という性質のものでもないでしょうし、焦って探すべきものでもありません。教育心理学の研究では、「周りの人はやりたいことを考えている・決まっている」から「私も探さないと」という〈他者追随型〉のやりたいこと探しは、結局うまくいかない傾向にあることが分かっています。

しかし、「やりたいこと」の軸を決められない学生の問題は、就活の仕方まで受動的になってしまうことです。逆に、「やりたいこと」は見えなくても、能動的に動くことができた学生は、「やりたくこと」があっても消極的にしか動かない学生と比べ、会社理解に大きな差はありません【図5】。

photo 図5.入社前の会社・適性理解の度合い(パーソルキャリアとCAMP調査)

 大学生の8割程度は、何らかのやりたいことの落とし所を見つけているという事実を考えれば、それほど心配することも無いかもしれません。そして、「やりたいこと」は入社後でも見つかる人も多いでしょう。

 繰り返し述べれば、最も大切なのは、せっかく希望の企業に入社しても入社後に「こんなはずじゃなかった」が起こるような就活を防ぐことです。それは内定獲得や入社決定という瞬間的な出来事よりも長く、深く、その人のキャリアに影響します。そのためにも、就活、そして学生生活の日々のなかで能動的に動き続け、「やりたいこと」はその結果として後からついてくる。データから示された現在の学生と「やりたいこと」の関係は、このようにまとめられそうです。

パーソル総合研究所×CAMP 「就職活動と入社後の実態に関する定量調査」 調査概要

調査手法:個人に対するインターネット調査

調査対象:居住地域:全国 18歳以上30歳未満の大学生・初職入社1-3年の社会人(離職者含む) 合計サンプル数 1700人

調査時期:2019年2月


著者プロフィール

小林祐児(こばやし ゆうじ)

パーソル総合研究所 主任研究員

NHK 放送文化研究所に勤務後、総合マーケティングリサーチファームにて、各種の定量調査・定性調査・訪問調査・オンラインコミュニティー調査など、多岐にわたる調査PJTの企画-実査を経験。2015年入社。専門は理論社会学・社会調査論・人的資源管理論。


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