このように〈選択前-選択〉としての「やりたいこと」は、就活での具体的なアクションを取っていくための条件になっていきました。【図2】に示した就活行動のデータを見ても、将来の「やりたいこと」がみえている学生は、そうでない学生と比べて、如実に就活の行動に如実に差が現れます。
具体的には、やりたいことが決まっている層は、より多くの人に相談しにいき、教授や新聞含めて、能動的に足や頭を動かして情報収集に努めています。
一方、やりたいことが決まっていない学生は、ナビサイトや合同説明会などの受動的な就活行動が多くなっています。大量にエントリしておき、書類選考に引っ掛かった企業から順に調べ始める、という本末転倒な事態がよく起こるのも、「やりたいこと」の無い受動的な就活行動の典型です。〈選択前-選択〉の難しさを回避して、自分を選ぶ「企業側」にその選択を委ねてしまうのです。
もう少し掘り下げましょう。こうした能動的就活がなぜ良いことなのでしょうか。実は、獲得する内定数がさほど大きく増えるわけではありません。こうした行動が、入社前の企業の理解を正確にし、先に述べた事前のイメージとのギャップ、リアリティ・ショックを防止するからです。
データを深く分析すると、相談しに行く人の数や、インターンなどで人脈を得て、社員のリアルな意見をヒアリングすることで、企業とそこに対する自己の適性を理解することができ、結果リアリティ・ショックが防がれていました。
さて、とはいえ「やりたいこと」が簡単に見つかるなら、冒頭のような学生の苦悩はありません。そして、「やりたいこと」は自動的に見つかるわけではありません。見つかる学生と見つからない学生は、何かが異なっているはずです。そこで、大学三年の冬を1つのタイミングとして、そこでやりたいことが「決定している層」と「決定していない層」に分け、就活以外の学生生活の過ごし方の差からヒントを探っていきましょう。
【図3】【4】から見えてくることを簡単にまとめれば、授業以外の勉強や、異性含めた幅広い人間関係などを重視して過ごしていた学生が、結果的に就活で「やりたいこと」を見つけているということです。逆に、「趣味」や「アルバイト」のみに没頭したり、日々「なんとなく」過ごし、広い交友関係を築いていない学生は、やりたいことが見つかりにくい、ということです。
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