ブランディングに携わってきた洪大記副社長は、「屋号に京都を名乗る以上、めったなことはできない。寿司、ラーメン、天ぷらなどに続く和食の代表格として認めてもらえるように日々精進している」と、業態の改善に力を注いでいる。
最近の顕著な改善例を示そう。
京都勝牛は、同業他社ばかりでなく一般的なトンカツ店にもほとんどない、部位を選べる画期的なシステムを有している。部位を選ぶというと焼肉やステーキを想起するが、それをカツのような揚げ物でできてしまうのだ。
19年4月から東京で先行して導入し、検証を進め、5月から全国に展開している。
選べる部位は「リブロース」「ロース(ハネシタ)」「タン」「ヒレ」「黒毛和牛(ウチモモ)」の5種類。リブロース&ロースのような、2種類の部位を組み合わせられる相盛りも用意した(一部の店では相盛りは提供していない)。博多ラーメンやつけ麺の替え玉のような感覚で、カツのお代わり(追いカツ)も可能だ。
値段は「名物白 牛リブロースカツ膳」(並1280円、税別、以下同)、「元祖赤 牛ロースカツ膳」(並1380円)、「牛タンカツねぎ味噌膳」(並1780円)、「牛ヒレカツ京玉膳」(並1980円)、「黒毛和牛カツ京玉膳」(並2480円)など。4種以上の部位を食べ比べしたい人のためには「牛カツ欲張り御膳」(2680円)がある。ハーフ&ハーフには、「リブロース&ロース」(1480円)などがある。サイズは並が130グラム、大が160グラムである。追いカツは70グラムとなっている。
また、京都勝牛ではバラエティ豊かな薬味とつけダレがそろっている。わさびに加え、だしじょうゆ、牛カツソース、特製和風カレーつけ汁、山椒塩などがある。わさびじょうゆをはじめ、卓上に置かれたすりごまを牛カツソースに入れて、さまざまな味の変化が楽しめる。
牛カツは60〜120秒ほどでクイックに揚げて提供される。火加減は、芯まで火が通って肉が硬くならないミディアムレアだが、顧客の要望により調整が可能だ。
揚がったカツは8ミリ幅に細かく切る。さまざまな薬味やたれで、味を変えて楽しんでもらいたいからだ。
「京都」を発信するのも京都勝牛が心掛けていることだ。例えば、山椒塩の山椒は京料理では定番の食材だ。外国人には宇治の抹茶を使った抹茶ビールがよく出る。スイーツには抹茶アイスを用意した。
締めも、カツカレー、卵かけご飯、カレー茶漬けと多彩に提案しており、一膳で値段以上の満足ができるように設計されている。単純にカツにソースをかけて食べるだけの料理ではないのである。
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