自分でも、何回書いたかよく分からないMAZDA3とSKYACTIV-Xのコンビである。主な記事を振り返ってみるとこんな感じだ。
(シャシー編はこちら)
ということで、SKYACTIV-X(以後冗長なのでXと略す)とMAZDA3のことはすでに書き尽くした感もあるのだが、国内仕様の試乗会に行ってみたら思わぬ伏兵が待っていた。今回の試乗会の主役はXだったはずなのに、いきなり予定調和が崩れる。SKYACTIV-G 1.5を積んだクルマが素晴らしかったからだ。箱根で行われた試乗会では、乗る人乗る人に「1.5良いねぇ」と言われまくったマツダの人達は、極めて複雑な表情だった。
MAZDA3
「なんで今更SKYACTIV-G 1.5なの? もうとっくに納車されて毎日乗ってるけど?」という読者もいるだろう。実は国内クローズドコースで行われた試乗会の時、1.5が用意されておらず、広報車配備の予定もないというマツダの説明に、ジャーナリストの一部からもの言いがついた。「売ってるクルマのユニットは全部用意すべきじゃないですか?」。いやそれはもっともなのだけれど、申し訳ないことにその時点では筆者はそれほど関心を持っていなかった。
気持ちがすっかりSKYACTIV-Xに行ってたからだ。そういうところは、機械好きの良くない点だとちょっと反省している。そもそもXの欧州仕様にはすでに乗っているではないか。ただ、まさか1.5Gがあんなに良いとは思っていなかったのだ。
いや主役のXだって、決して悪くないというか、むしろ素晴らしかった。1.5の話はちょっともったい付けて先にXの話をしよう。そもそもこのエンジンは、世界の自動車エンジニアが競い合って開発を続けてきた夢の予混合圧縮着火(HCCI:Homogeneous-Charge Compression Ignition)エンジンだ。マツダはその圧縮の制御因子として点火プラグを使い、HCCIの変形種である火花点火制御圧縮着火(SPCCI)という方式を編み出し、世界で始めて実用化した。
火花点火(SI)と予混合圧縮着火(HCCI)。プラグで着火された混合気が燃焼室外周へ向かって燃え広がるのがSI。圧縮で気体温度が上昇し、発火点に達して混合気が一斉に燃えるのがHCCI
マツダが生み出したHCCIの変形種である火花点火制御圧縮着火(SPCCI)。プラグ回りで火球が発生し、その膨張圧力で周囲の混合気が圧縮されてHCCIと同じ燃え方を始める
理屈の話を始めるととんでもなく長くなるから、過去記事を読んでもらうとして、まずはエンジンフィール・チェックの前提条件を考えることから始めよう。
- Mazda3国内仕様試乗で判明した「ちょっと待った!」
マツダ3の国内仕様車に乗って、まさか期待を裏切られるとは露程も思っていなかった。変速ショックそのものを消そうとした結果、第7世代思想に遅れを取っている。SKYACTIV-D 1.8のアクセルも意図以上に加速を始めてしまう。それは全く人間中心ではない。この評価が変わるかどうかは、全てはSKYACTIV-X次第だ。
- Mazda3の最後のピース SKYACTIV-X
「ガソリンとディーゼルの良いとこ取り」を目指したマツダの新型エンジンSKYACTIV-Xがデビュー。ドイツで行われた試乗会から、この技術の意味と、実際のフィールについて解説する。
- 新型アクセラの驚愕すべき出来
マツダの新型Mazda3(アクセラ)に試乗した。ドアを開けて座った瞬間、そのただならぬシートに驚く。走り出してボディの硬さにびっくりする。前代未聞の感覚だった。もちろんプラスの意味である。
- 世界初 マツダSKYACTIV-Xをドイツで試運転してきた
マツダが先月発表した次世代エンジン「SKYACTIV-X」。その能力を体感する機会に恵まれた。しかもマツダの社員以外で、世界で初めてSKYACTIV-Xのエンジンを始動する栄誉に預かったのだ。
- 世界初 マツダSKYACTIV-Xをドイツで試運転してきた
マツダが先月発表した次世代エンジン「SKYACTIV-X」。その能力を体感する機会に恵まれた。しかもマツダの社員以外で、世界で初めてSKYACTIV-Xのエンジンを始動する栄誉に預かったのだ。
- 驚愕の連続 マツダよそれは本当か!
マツダが2030年に向けた技術開発の長期ビジョン「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言 2030」を発表。この中で、最も注目されたのは「内燃機関の革新」の中核となるSKYACTIV Xだ。かねてよりマツダが研究中と伝えられてきたHCCIエンジンがいよいよそのベールを脱いだことになる。
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