「50歳以上の管理職9人を、どうするか。本当に、頭が痛い」
「御社だけの問題ではなく、日本の問題になりつつありますね」
社長は腕を組んだまま黙り込んだ。50代の管理職たちに手を焼いているという。実際に、私どもコンサルタントが支援に入ってからの2年。社長と一緒に進めてきた組織改革に、ことごとく異を唱えてきたのが、この50代管理職たちだ。彼らの激しい抵抗さえなければ、もう1年前倒しで業績も復活していただろうと社長とも話していた。
私はこのような50代男性管理職たちを「50G(フィフティ―ジー)」と呼んでいる。「50G」とは、50代という年齢と世代(ジェネレーション)、そして年老いた男性(ジー)を掛け合わせた造語だ。昨今、年功序列の恩恵にあずかり、高給取りでありながら会社への貢献度の低い男性社員を「働かないおじさん」と呼ぶそうだ。しかし、あまりに表現がストレートすぎて、この言葉の使い勝手は悪い。だから、私はあえて暗号的な「50G」を使う。
日経ビジネス10月14日号では「トヨタも悩む 新50代問題 もうリストラでは解決できない」という特集が組まれた。日本を代表する企業のトヨタ自動車でさえも「50G問題」に悩む時代だ。味の素も先日、50代管理職に対して希望退職を募った。ひと昔前であれば「安定企業」だった、銀行や証券会社においても大リストラ時代が始まっている。多くの会社のケースでは「業績低迷」のリストラではなく、テクノロジーの発展によって余剰化する人員の整理が目的だ。だから問題は根深く、厄介だ。
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