乃村: 一人で利用する人にとって、真ん中に木があるととても心地いいんですよおね。どういうことかというと、他人の目線が気にならないから。実際に座ってみても、正面にいる人は気になりません。
「オフィス内にパーティションをつくりたい。個別ブースとして使いたいんですよ」といった声を聞くことがあるのですが、木を置くだけで対応できるケースもあるはず。このようなことを言うと、「でも、音が聞こえますよ」といった指摘があるのですが、木があるだけで人ってそこを避けて通ろうとしますよね。もちろんパーティションがダメだという話をしているのではなくて、この部屋で人の動きを分析したところ、テーブルの真ん中に木を置くだけで、一定のプライベートを守られていることが分かってきました。
土肥: レイアウト変更前にも6人が座れるテーブルがいくつかありますよね。そのときの利用率も低かったのでしょうか。
乃村: はい。では、どのようにして利用率を上げたのかというと、先ほど申し上げたように動線を広くしました。広くしたことで、利用者は「そこに行ける」と感じてくれているのではないでしょうか。レイアウト変更前は、動線が狭いだけでなく、他のテーブルに座っている人の背後を歩かなければいけないことが多かったのですが、変更後はできるだけ背後を歩かなくてすむようにしました。背後を通られるのも、通るのもあまりいい感じがしませんからね。
土肥: あー、それは分かる分かる。仕事をしていて、後ろでウロチョロされると気になりますからね。男性トイレで大を利用しているときに、前をウロチョロされるのも気になりますが(これは違う問題)。
乃村: 繰り返しになりますが、動線を広くしたことで、背後を通りやすくなりました。そうしたちょっとした工夫をすることで、利用者が増えただけでなく、人との接触率がアップしたんですよね。人と人とが接触した回数をみると、レイアウト変更前と後で、2倍ほど増えていることが分かってきました。
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