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インタビュー
» 2019年12月25日 08時00分 公開

水曜インタビュー劇場(リセット公演):乃村工藝社(お台場)の4階で、人の交流が2倍に増えた理由 (3/6)

[土肥義則,ITmedia]

部屋に3Dセンサーと2Dセンサーを設置

乃村: この空間をどのような設計にするのか。従業員にアンケートをしたところ、さまざまな声がありました。「食事ができるところがいい」「寝る場所がほしい」「運動ができるスペースをつくってほしい」など。いろんなニーズがあることが分かったのですが、それらをすべて取り入れると煩雑になって、よく分からない場所になってしまう。それではいけないので、空間を5つのゾーンにわけました。「仕切りはなくすけれど、このスペースは、こういう使い方をしてくださいね」といったコンセプトを掲げました。

レイアウト変更前のリセットスペース

土肥: ふむふむ。資料を見ると、「会話する」「くつろぐ」「集中する」「飲食する」「体を動かす」――。5つの異なるゾーンを設けたわけですよね。「はい、完成しました。みなさん、じゃんじゃん使ってくださいね〜」とアナウンスすることで、利用者が増えたわけですか?

乃村: いえ、話はそれほど簡単ではありません。このスペースに何度も足を運んで、「朝の時間帯には〇〇人くらいが利用しているなあ」「テーブルでご飯を食べている人は女性が多いなあ」といった感じで、なんとなく肌感覚で「このくらいの人が利用している」という実感はありました。

 また、利用者にアンケートをしたところ「このテーブルを1時間ほど利用した」といった答えはあったのですが、細かな部分はよく分からなかったんですよね。この時間帯にどのくらいの人がやって来て、どのテーブルに座って、どのような交流をしているのかなど。そうした情報を知りたかったので、テクノロジーを使いました。

 部屋に3Dセンサーと2Dセンサーを設置して、どの時間帯にどのくらいの人が出入りしているのか、入ってきた人はどのような動きをしているのか、人とどのくらい接触しているのかなどデータを使って分析することにしました。

リセットスペースの企画・運営などを担当している乃村隆介さん

土肥: ほー。で、どんなことが分かってきたのですか?

乃村: 壁にコンビニの自販機が並んでいるのですが、それを利用する人がものすごく多いんですよね。おにぎりを買ったり、コーヒーを買ったり。それを目的にこの部屋に来てくれるのはうれしいのですが、それだけの人が多いことが分かってきました。入口から入って来て、自販機で何かを購入して、そのまま退出する。先ほど申し上げたように、このスペースの目的は「人と人との交流」があるので、これではいけない。できればここで食べて飲んで会話をしてもらいたいのに、滞留率が低い。

土肥: 自販機で商品を買って、自分の席で飲み食いしているわけですね。それだと会社の外で買うかどうかの違いだけになってしまう。人と人が交流してもらうために、何か手を打ったのでしょうか?

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