NISA制度が税制改正で超変化 次の争点は「株とFX」の損益通算?古田拓也「今更聞けない金融ビジネスの基礎」(1/3 ページ)

» 2019年12月27日 07時00分 公開
[古田拓也ITmedia]

 自民党がまとめた2020年度税制改正大綱では、NISA周りの制度が大きく変わることが明らかとなった。今回は、NISAをはじめとした金融商品取引をめぐる制度改正が、資産運用にどのような影響をもたらすかを確認していこう。

ジュニアNISAは撤廃、新NISAは”長期重視”に

 今回の税制改正で最も重要な点は、新NISA制度への移行である。これは、現行の「一般NISA」を「新NISA」へ移行させたうえで、制度の5年延長を定めたものだ。制度が想定どおり浸透しなかったジュニアNISAは順次撤廃となり、23年に口座開設の受付が終了する。

新NISAは”長期重視”に オコスモ作成 新NISAは”長期重視”に(オコスモ作成)

 新NISA制度は、1階部分と2階部分の2段階で構成される。1階部分は、従来の「つみたてNISA」と同じ考え方の枠で、年間20万円を金融庁が選定した投資信託等で運用できる。非課税期間の5年で最大100万円を積み立てることが可能だ。1階部分は、非課税期間終了後につみたてNISAに移管可能になる。

 2階部分が、これまでの一般NISAの考え方を受け継いだ部分だ。年間102万円までの投資が可能で、合計510万円まで非課税枠で投資できる。しかし、2階部分を利用するにあたっては、1階部分の利用が前提だ。既存のNISA口座開設者や、投資経験者に関しては2階部分のみの利用も可能となるが、その場合、新NISAでつみたてられる金額は毎年102万円までとなり、従来よりも毎年18万円ほど投資可能枠が少なくなってしまう。

 ここで気になるのが、なぜ2階部分の投資可能額が100万円ではなく102万円なのかという点だろう。ある業界関係者は「ジュニアNISAが廃止された分の”おまけ”ではないか」という見方をしているようだ。個人的な見解としては、100万円だと12カ月でキリよく分割できないことも要因と考える。102万円であれば、毎月の投資額は8万5000円で、このキリの良さが2万円追加の背景となったのではないだろうか。

 なお新NISAでは、これまで問題視されていた「NISAでバクチ」対策にも言及されている。主に「インバース」や、「ダブルブル」「ダブルベア」といった名前が付いている短期志向のETFや投資信託は、制度対象外となる可能性が高いため、購入の際には注意が必要だ。

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