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» 2019年12月28日 05時00分 公開

「自動運転車の開発」支える:トヨタ、ホンダも頼るVR技術会社 「極限の条件」を作り出してきた社長が自動車教習所に商機見いだす理由 (1/3)

自動運転車の開発や安全運転の実現に不可欠で、実用化が見込まれているシミュレーター装置を開発し、トヨタやホンダから重宝されているVR会社がある。建設・土木向けにコンピュータを使ったシミュレーターを開発し、VR技術を培ってきたフォーラムエイトの伊藤裕二社長に今後の展望を聞いた。現状は自動車教習所や病院、海外の交通事故対策などに商機を見いだしている――。

[中西享,ITmedia]

 VR(バーチャルリアリティー、仮想現実)技術を応用して、自動運転車の開発や安全運転の実現に不可欠で、数年後に実用化が見込まれているITS(高度道路交通システム)シミュレーター装置を開発し、トヨタ自動車や日産自動車、本田技研工業などの日本メーカーや中国企業から重宝されている企業がある。

phot 360度シミュレーター

 建設・土木向けにコンピュータを使ったシミュレーターを開発し、この分野でVR技術を培ってきたフォーラムエイト(東京・港)だ。同社の創業メンバーである伊藤裕二社長に今後の展望を聞いた。

 VRは表面的には現実ではないが、限りなく現実に近いものという意味で、VR映像内でリアルに近い体験が得られる。ゲーム機器などエンターテインメント分野で始まって、最近はスポーツや医療現場の世界にも導入されてきた。ヘッドセットと呼ばれるゴーグルをかけ、リモコンによって画像を操作するものが主流で、さまざまな仮想空間を楽しめるようになっている。

 自動運転車の開発では気象、路面、対向車などさまざまな条件によって車がどういう反応をするかを事前に検証しておかなければならない。このため、VRによって現実には実現できないような「極限の条件」を無数に作り出して実験をすることができる。

phot 伊藤裕二(いとう・ゆうじ) 1957年生まれ。1987年フォーラムエイト創業時メンバー。89年大阪営業所長。2003年から社長。17年に『VRインパクトーー知らないではすまされないバーチャルリアリティの凄い世界』(ダイヤモンド社)を出版。神戸市出身

異なった環境をモデリングできる

――貴社のITSシミュレーターは他社と比べてどこが優れているのか。

 ユーザーがさまざまな環境に対応して自分で「モデリング」できる点だ。従来のシミュレーターは例えば運転免許センターで運転を学ぶように、決められた道路を走ってデータを集めるいわば「固定されたシナリオ」だった。しかし、自動運転車の開発では天候、右側走行か左側走行かなどさまざまな異なった環境下で、できるだけ多くの知見が必要になる。

 当社の研究用シミュレーターは、こうしたあらゆる環境や条件を独自に作り出してテストできるのが強みだ。取引先が環境や条件を作り出せなければ当社のVRサポート部隊が提供できる。

 もう一つはシミュレーターそのものの機能が優れていることだ。これはソフトウェアの開発を常に更新しているということでもある。

――建設や土木の分野で培ってきた技術や経験が役立っているのか。

 最初は土木の分野で交通システムを中心としたシミュレーションをしてきた。その後、その先の運転にもVRやシミュレーション技術を試してみたいとなり、トヨタやアイシン精機などから「運転についての装置を作ってくれないか」と要望が出始めた。日本の自動車メーカーでは、2005年にトヨタにドライビングシミュレーターを提供し、いまでは日産、ホンダなどの主要メーカーや多くの大学に研究用として提供している。

 ゲームセンターにドライビングシミュレーターがあるが、当社はあの空間を図面ベースで、土木分野で培った技術を活用しながら、運転する際の道路と自動車との空間を完全に工学的に表現することができる。イメージによって道路を設計しているわけではなく、工学的に道路線形で設計していて、車は車両運動モデルによって動いている。

 われわれはこのように道路と車、両方の動きを再現できているので、精度の高いドライビングシミュレーションを提供できるのだ。

――トヨタは車同士の通信や、道路に設置された機器と車との通信によって安全な交通社会の実現を目指す「協調型自動運転システム」を開発しようとしているが、それに対応できるのか。

 警察から情報提供を得られることが前提となればシミュレーションできる。

phot 除雪シミュレーター
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