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トヨタ、ホンダも頼るVR技術会社 「極限の条件」を作り出してきた社長が自動車教習所に商機見いだす理由「自動運転車の開発」支える(2/3 ページ)

» 2019年12月28日 05時00分 公開
[中西享ITmedia]
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各国バラバラの「仮想実験」

――地図を手掛けるゼンリンが3次元の地図データを提供しようとしているが、貴社の事業とはバッティングしないのか。

 ゼンリンは3次元の地図を持っているが、「重たい」ということもありリアルで実際に使うのには向かない部分がある。いま問題になっているのは3次元の地図をどうやって作るかで、メーカーは3次元地図データを使う仮想実験を、膨大な回数を繰り返し実施している。

 この実験をした後、実際の車を作って公道を走らせることにしている。だが、この「仮想の実験」のやり方は各国でバラバラの状況だ。ドイツはプラットフォームを作って実験の研究成果を集約しようとしているようだ。日本でも大学教授などによるコンソーシアムを作る動きはあり、当社も参加させてもらっている。

――中国の機関や企業にも製品を納入しているそうだが。

 2014年にRIOH(中国運輸部公路科学研究院)に大型のシミュレーターシステムを納入した。中国側はソフトウェア性能に関して厳しい要求をしてきたものの、09年の国際入札で勝ち取ることができた。このシミュレーターは振動や回転もしながら全ての方向に動くようになっていて、あらゆる角度を再現できる。

 当社は現在、中国では大学を中心に50システムを納入している。上海に合弁ではなく100%独資の会社を設立し、ここを拠点にして営業活動を展開してきた。最近では、中国の自動車メーカーにも製品を納めている。このほか海外では台湾の警察大学などにもシステムを提供している。

――自動運転の分野はビジネスの重要な柱になってくるのか。

 自動運転関連のシミュレーターは自動車メーカーと大学に多く提供していて、今後も重要な分野になる。ただ、直近は自動車メーカーの利益が落ちているせいか、自動運転の研究開発が少し下火になっている。加えて中国では電気自動車(EV)の方が盛り上がっている印象がある。だから海外比率はそれほど高くはない。日本メーカーは研究開発の拠点をほぼ国内に置いているので、当社も国内のビジネスの方が比重が大きい。

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