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国の支援も手遅れ……「就職氷河期第一世代」の女性が味わった絶望とはロスジェネ女子の就職サバイバル(4/4 ページ)

» 2020年01月06日 07時00分 公開
[菅野久美子ITmedia]
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「ロスジェネたった10人」を採用する厚労省

 ある同期の氷河期世代の女性は、『固定給』という違法労働の名のもと、朝9時から夜12時まで寝る間もないほどに働かされた。残業代も出ない。その苦境を父親に相談したら、『石の上にも三年だよ』とあしらわれたという。

 今でこそ毎日のように氷河期世代支援のニュースが巷(ちまた)を賑わせているが、年功序列が当たり前だった親世代は、無慈悲なほどにロスジェネの現状に無理解だった。ブラック企業で挫折しても、『怠け者』と親や親戚から攻め立てられ、ひきこもるようになったロスジェネ世代も数えきれないほどにいる。そのツケは、8050、7040問題として社会に表出してきている。ロスジェネの受けてきた仕打ちは理不尽極まりない。

 厚生労働省は、就職氷河期世代の10人を採用するらしい。たった10人! 採用されるのは、氷河の上をスケートでもする超エリートなのだろうと皮肉りたくもなる。時すでに遅しだが、国の対策はもちろん、この世代に対して社会の見方も変化する時期を迎えているのではないだろうか。

筆者よりお知らせ :連載「ロスジェネ女子の就職サバイバル」では、実際に就職やキャリア遍歴で苦労や悩みを抱えたロスジェネ世代(1970年〜1982年生まれ)の女性で、お話を伺える方を募集しております。lossgenesearch@gmail.comまでお寄せいただければ幸いです。

著者プロフィール

菅野久美子(かんの くみこ)

フリーライター。1982年宮崎県生まれ。大阪芸術大学卒。出版社の編集者を経て2005年から現職。孤独死や性にまつわる記事を多数執筆。著書に『大島てるが案内人 事故物件めぐりをしてきました』(彩図社)、『孤独死大国 予備軍1000万人時代のリアル』(双葉社)など。


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