クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

ヤリスGR-FOURとスポーツドライビングの未来(前編)池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/5 ページ)

» 2020年01月13日 07時20分 公開
[池田直渡ITmedia]

ラリー王国トヨタを不動のものとするウェポン

トヨタの副社長であり、GRカンパニーのプレジデントでもある友山茂樹氏は、東京オートサロンのプレスカンファレンスで、GRヤリスのコンセプトについて、「ラリー王国トヨタを不動のものとするウェポン」であり「BORN FROM WRC!」であると説明した。さらに友山副社長の説明を抜き出してみよう。

 GRヤリスは、従来のトヨタ車では考えられない、“スーパー・ホットハッチ”となりました。コンパクトな1.6リッター・ターボエンジン、272馬力のパワーを伝達する新開発のフルタイム4WDシステム「GR-FOUR」、それを支える足回りは、リヤに専用のダブルウィッシュボーンをおごり、なんとトレッドは86よりワイドになっています。

 また、フロントフード、左右のドアパネル、バックパネルはアルミ製、ルーフにはカーボンを採用し軽量化を図ると同時に、バッテリーをリヤに配置するなど重量配分にも気を配りました。

 GRヤリスの戦闘能力を強調しましたが、実は、GRヤリスは、多くのお客様に「クルマを操る楽しさを教えてくれる」そんなクルマでもあります。「このクルマなら、今まで走ったことのない雪道を走ってみたい、ラリーに挑戦してみたい」というように、お客さまの心に「FUN TO DRIVE AGAIN」の想いを呼び覚ましてくれることでしょう。

 乱暴にいえば、かつて大人気を博したグループAラリーカーの現代版であり、それはつまりグループA時代の初頭を席巻したランチア・デルタHFシリーズや、その無敵のランチアを打ち破ったST185のトヨタ・セリカGT-FOURや、スバル・インプレッサWRXの系譜を継ぐクルマだ。

 90年代には、お金がなく、デルタやセリカやインプレッサに憧れながら手に入れられなかった若者たちもいまや40代から50代。あの頃手に入れられなかった夢が今再び巡ってきたわけだ。

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