まず、1つはオイルショック。79年の第2次オイルショックの翌年には、政府が石油7%節約を掲げたことを受けて、農水省(当時)が、すかいらーく、ロイヤル、デニーズジャパンといういわゆる“ファミレス御三家”に対して、外食産業が深夜営業自粛の模範を示してもらいたい、と営業時間の短縮を要請したのだ。これは喉元過ぎればなんとやらで、「危機」が過ぎてウヤムヤになった。
そして、2つ目が90年の”ロイヤルショック”である。
「24時間営業廃止」や「全席禁煙」という先見性のある施策をいち早く取り入れることで定評のあるロイヤルホストだが、実は今から30年前、効率化と従業員のモチベーションアップのため、いち早く「時短ファミレス」の導入に踏み切っていたことはあまり知られていない。
日経流通新聞の「ロイヤルホスト、効率化へ営業時間短縮」(1990年8月16日)によれば、当時で直営の約260店舗のうち、24時間営業を40%程度まで減らしたほか、午前2時までの店舗も午後11時までに短縮。これを年50店舗ペースで広げていくと宣言。実際、同年12月には24時間営業店の比率は23.7%と4分の1になったという。
背景にはあるのは、現代と変わらぬ「人口減少」だ。
バブル景気の中でイケイケドンドンでファミレス業界も競争が激化する中で、立地によってパートタイマーが集まらず、そのぶんを店長ひとりがカバーするなど負担が大きくなり、24時間店舗が増えれば増えるほど従業員のモチベーションが下がるという問題が発生。そこでロイヤルとしては、昼・夕食時間の営業の焦点を絞る「選択と集中」という戦略を取ったのである。
この革新的な取り組みはバブル絶頂のファミレス業界には大きな衝撃を走らせたが、さらに驚かされたのはその「効果」だ。大方の予想を覆し、「時短営業」を開始したロイヤルでは料理長、店長など主力スタッフがランチ・ディナーの稼ぎ時に集中して活動できるため、疲れはてて仕事をしていた以前よりも、なんと売り上げは逆に上がったのだ。
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