では、なぜ日本の「便利さ」は「豊かさ」につながらないのか。答えは簡単で、テクノロジーやシステムによるものではなく、「低賃金労働」をベースとした「便利さ」だからだ。
ネットフリックスなどの動画配信サービスのような、テクノロジーが生み出す「便利さ」は社会を豊かにしていく。消費者は、いつでも、安く、豊富な動画を楽しむことができる。配信側もテクノロジーで映像配信をしているので、会員数が爆発的に増えてもブラック労働は増えない。リアル顧客対応する機会が圧倒的に少ないからだ。映画会社側もレンタルビデオの奥の棚で眠っていた作品が再び陽の目を浴びてチャリンと入る。この「便利さ」はほとんどの人を「豊か」にしていくのだ。
しかし、コンビニやファミレスのような「便利さ」はそうはならない。消費者は、いつでも、安く、品質の高い商品やサービスを利用することができるが、それを供給するための「低賃金労働者」が大量に必要になる。つまり、消費者の便利が進めば進むほど、「便利の奴隷」が増えていく現象が起きるのだ。
だったら、賃金を上げればいい、と軽く言う人たちもいるが、そうすると、今度は企業側がもうからない。今回、すかいらーくグループが撤退したように、安くて質の高い商品やサービスを24時間体制で提供する「うまみ」がなくなるのだ。
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