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» 2020年01月28日 08時05分 公開

スピン経済の歩き方:やはり「24時間営業」はやめなければいけない、勘違いな理由 (3/5)

[窪田順生,ITmedia]

「24時間営業」が爆発的に増えていく

 24時間営業という「便利さ」が必ずしも「豊かさ」をもたらさないことを証明したわけだが、ライバルたちはこの動きに加わることはなかった。むしろ、その逆でこの時期から「ファミレス24時間営業」が爆発的に増えていく。

 なぜそうなってしまうのかというと、ロイヤルが営業時間短縮に踏み切ってほどなくして、バブル経済が崩壊してしまうからだ。ファミレス各社の客数はガクンと減った。景気が低迷する中で、価格はあげられない。そんな状況の中で、売り上げを前のように維持するには、開店時間を長くしていくしかない。

 というわけで、ロイヤルの成功例は業界の中でスコーンとどこかへ飛んでいき、各社は競い合うように「営業時間拡大路線」を突き進む。「時短ファミレス」で外食の新しい道を示したロイヤルでさえ、この方針を凍結せざるを得なくなった。

 こうして、「失われた30年」へ突入して日本が貧しくなっていくのと比例するかのように、ファミレス24時間営業の店舗は右肩上がりに増えていったというわけだ。

 「ファミレス24時間営業」というものが「豊かさの象徴」ではないことが分かっていただけだだろうか。このビジネスモデルは、コンビニのFCビジネスの中で、高いチャージを取り続けるのと全く同じで、不況の中で客数がにぶっても、営業時間を増やすことで売り上げを維持するという思想の中で定着した。

 つまり、「24時間営業」というのは豊かな社会の中で、サービスや品質の質をさらにあげようという発想から広まったものではなく、貧しい社会の中で、どうすれば低価格な商品でも大きな売り上げをつくれるかという苦闘の中で普及したものなのだ。

 なんてことを口走ってしまうと、「日本のコンビニやファミレスは安い価格で高い品質や高いサービスを提供すると外国人も大絶賛している! これを豊かと言わずなんと言うのか!」と怒り狂う方たちがたくさんいらっしゃるだろうが、筆者は日本のコンビニやファミレスをディスるつもりは毛頭もない。

(写真提供:ゲッティイメージズ)

 日本のコンビニの品ぞろえ、ファミレスの料理のおいしさ、高い接客など利用者が享受できる「便利さ」という点では世界一だとも思う。ただ、「便利さ」と「豊かさ」は違う、と申し上げているのだ。

 そのあたりは、便利なコンビニやファミレスがこれだけ溢れる、先進国有数の「便利社会」であるにもかかわらず、先進国の中で唯一20年も経済成長をしておらず、先進国の中でも際立って低い賃金で、貧困率もG7の中で2番目に高いという事実が雄弁に物語っている。

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