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ブラック企業、セクハラ、解雇、引きこもり……38歳女性に刻まれた「氷河期という呪い」ロスジェネ女子の就職サバイバル(4/5 ページ)

» 2020年02月05日 08時00分 公開
[菅野久美子ITmedia]

 それでも何とか立ち上がって往復2時間かけて面接に向かうと、圧迫面接が待ち受けている。そして追い打ちをかけるように経歴にダメ出しをされる。

 「面接官に『30歳も超えているのに今後どうするつもりだ』と怒鳴られたんです。いちいち面接官の言葉に反応しちゃだめだと分かっているけど、人間だから思わず言い返したくなるんです」

 毎日YouTubeをボーっと見る生活だけの生活を送っていた。転機となったのはニートになって2年後の33歳のときだ。たまたま電話をかけた会社の社長から引きがあり、思い切って上京。その後は、IT関連の企画開発の部署で働くようになり、ようやくキャリアも収入面でも安定を手に入れることができた。

 しかし、佐藤さん自身、いまだに「すぐにクビを切られるのでは?」という恐怖から逃れることができない。

「ブランド品も結婚も要らない」

 「まず入り口で間違えたと思いますね。大手企業に入れていたら、全く違っていたと思います。あと、5つくらい下の子と話していると、年収も自分より300万以上もらっていたりする。これが10年経ったら結構な差になると思うんです。私は最初の手取りが低すぎたから、転職してもそれがベースになって、なかなか上がらない。大手企業に入った同期との差を計算したら、2000万以上損していました」

 佐藤さんは現在、セレブな土地として有名な東京都港区に住んでいる。しかし、その華やかなイメージとは違って、最低限しかお金は使わない。飲み会などには極力参加せず基本的に自炊で、お昼はお弁当を持参という質素な生活を送っている。

 昔はブランド物のバッグが欲しいなどと思うことがあった。しかしお金を使うのが怖くなり、いつしか洋服や食にも興味は無くなっていた。ランチなどお金を使う友達関係も全て関係を切った。それは、やはり氷河期特有の金銭感覚が影響しているという。

人生の目標は「お金を取り戻す」

 彼氏もいるが、特に結婚したいとは思わない。それよりも本来この世代が順当にいけば得られるはずだった「お金」を何としてでも取り返すことだけが、今は人生の目標となった。資格取得で給料アップなどの話があると、すぐに飛びついた。上下の世代は面倒くさがり取ろうとしないが、佐藤さんはわずか2週間で資格を取得した。

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