評価基準を見える化し、部下を評価する際に特に気を付けなければならない点は、「部下は自分と同じようにはできない」という認識を常に持っておくことです。部下に自分と同じレベルを求めることはご法度だと思ってください。
上司はついつい「自分がここまでやれたんだから、部下もできるはずだ」と考えてしまいがちです。しかし、それは部下に対する過剰な要求につながっていく危険性が高いのです。
たとえ「自分が若いときにはこれだけやっていた!」という思いがあっても、あなたの時代や状況と今はまったく異なります。若い人たちの意識もまったく異なるでしょう。そしてあなたは優秀だからこそ上司になったのであり、部下はそれだけのレベルに達していないからこそ部下なのです。
よく「名プレイヤーは名監督になれない」といいますが、それは自分が「できる人」であるがために、「できない人」の気持ちも、「できない人」がどこでつまずくのかも分からないからでしょう。「部下は自分と同じようにはできない」というのは、名プレイヤーが名監督になるための重要な心得です。
この認識がないと、部下に対して常に高いハードルを設けてしまいかねません。過去に僕も、自分が率いる法律事務所で失敗しました。新人弁護士2人に対して、自分がやっていたようなことを求めすぎてしまい、彼らはわずか数日で事務所を辞めてしまいました。人が成長する一番の要素は自分自身のやる気と行動ですから、自分の力で何とか抜きん出ようとしている部下を追い込みすぎない気遣いをすることは、部下を動かすマネジメントには必須のことだといえます。
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