僕が知事になった頃の大阪府の方向性は「定住人口を増やす」という柱とともに「中小企業の技術力を守る」という柱がありました。大阪の衰退ぶりを見る限り、この方向性にも180度の大転換が必要でした。
確かに、東大阪を中心に大阪には高い技術力を誇る中小企業が軒を連ねています。しかし、それらを「守る」という方向性は、言い換えれば「全て今まで通り」を続けるということにすぎません。今まで通りの取引先、今まで通りの領域で、今まで通りに技術力を生かす。それでうまくいっているならいいのですが、事実、大阪は沈没寸前だったわけで、やはり方向性の大転換が必要でした。
そこで僕は「中継都市」の方向性に加えて「付加価値都市」という方向性も打ち出しました。大阪の持っている技術力を、より高く売れるほうに売り込んでいく・活用していくというものです。
例えば、長らく工作機械の領域で生きてきた技術が、実は医療の領域においても使えるということが多々あります。そして医療でその技術を使うほうが高い代金や報酬が得られる。技術は同じものなのに、その生かし方によって付加価値が上がるのです。
同じように、自動車部品を作る技術を、医療や航空といった領域において生かす。
「この技術は、この取引先との間で、この分野に限る」というこれまでのやり方をぶち破り、新たな価値のつく、すなわち高い値のつく領域に打って出て、これまでとは異なる分野の取引先を見つけてくる。
大阪が持っている技術力・力に、より高い値がつくように努力していくことが、結果として大阪という都市の商品価値を上げます。それは大阪の経済を活性化し、大阪に変化を起こします。
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