#SHIFT

橋下徹が語る新時代の働き方「自分の価値を高め続けられない人は“淘汰”される」橋下徹“異端”の仕事術【7】(2/5 ページ)

» 2020年02月23日 04時00分 公開
[橋下徹ITmedia]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

いくら努力しても天才弁護士には敵わなかった

 僕は弁護士ですが、弁護士として自分が突き抜けているとは思っていません。もしテレビに出る機会に恵まれず、現在の「橋下綜合法律事務所」の経営だけを続けていたら、どこにでもいる一弁護士として、今まで生きてきたでしょう。

 もし、今の僕に他の弁護士とは異なる突き抜けた価値があるとすれば、それは掛け合わせによる価値です。弁護士であることに加えて、タレントとしてテレビの仕事をし、政界に入って大阪府知事と大阪市長、そして国政政党の代表を歴任した、などの複数の強みが掛け合わされて、今の僕の価値を作っているのです。

 普通の弁護士なら世の中に数多くいます。テレビタレントも数多くいます。政治家も結構な数が存在する。しかし、弁護士であり、テレビ出演者であり、知事、市長、国政政党代表経験者となると一気に数は絞られます。この五つのカードを持っているのは、この日本国内では僕くらいではないでしょうか。

 だから僕は現在、講演会や番組に呼んでもらったり、こうして本を書かせてもらったりしているのです。

 こう聞いて、皆さんはちょっと怯んだかもしれません。弁護士というだけでもそれなりのアドバンテージがあるのに、タレント、大阪府知事、大阪市長、国政政党代表というものを掛け算したら、それは強み中の強みじゃないか。自分は同じようにはなれない、と。しかし僕は、自分が特別だとは考えていないし、皆さんに、そう考えてほしくもありません。僕もいくら努力しようとも天才弁護士には敵わないし、一流タレントになれるわけでもない。

 政治家として、巨大な与党自民党の中で権力闘争に勝ち抜き、大臣や総理大臣になれるような能力もありません。ただ、五つの強みを掛け合わせることで、そこそこ突き抜けることはできました。

 確かに弁護士、タレント、知事、市長、国政政党代表というのはそれなりの強みです。だから五つでよかったといってもいいかもしれない。しかし、ひとつひとつがそれほど強くないのだったら、あとは数で掛け算をすればいいのです。五つではなく、十、二十の強みの掛け算を。

 強みは「足し算」ではなく「掛け算」で考えるべきです。自分の価値が積み木のように積み重ねられるというよりは、まるで細胞分裂のように、倍々で増えていくイメージです。

phot 橋下にはどれか一つで突出する能力はないが、弁護士、タレント、知事、市長、国政政党代表というそれぞれの強みを掛け合わせることによって唯一無二の強みを発揮できる

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.