資産運用会社も無料化チキンレース? まだ残る3つの収益源(2/2 ページ)

» 2020年03月04日 07時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]
前のページへ 1|2       

アセットマネジメントビジネスに残る、3つの収益源

 ただし、アセットマネジメント自体にも、まだ一部に収益源は残ると大原氏は見る。

 1つは「コミュニティ戦略」だ。カリスマ性のあるファンドマネージャーの下、同じビジョンを共有する利用者を集めることで収益源とする。ひふみ投信やセゾン投信などは、著名な社長の理念に共感する人たちの資金を集めている。

 2つ目は「プライベートアセットの取り込み」だ。未公開株などプライベート・エクイティは、機関投資家やベンチャーキャピタル(VC)からの出資が主で、一般投資家が投資する方法はほとんどなかった。ところが米国では、上場株式に非上場株式も加えたクロスオーバー投資という手法を取った投資信託が登場してきている。ここでなければ買えないという投資先を用意することで、収益を確保する方法だ。

 3つ目は「投資一任契約のプラットフォームを提供」する方法だ。提案やアドバイスはIFA(独立系フィナンシャルアドバイザー)や地銀などに行ってもらい、投資一任契約の受け皿となることで総合的な収益を確保する。ただし、自社の投信だけを提案するのでは有用なプラットフォームとはなり得ず、他社の商品も扱う必要があるだろうと大原氏は指摘する。

 いくつかの方法はあるが、コミュニティ戦略やプライベートアセットは規模の拡大が難しく、大規模な運用会社が取り得る戦略は限られるだろう。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.