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ジャニー喜多川は偉大な「2軍の監督」だった 部下の個性伸ばす「ジャニーズ式教育法」とは?管理職の課題(4/5 ページ)

» 2020年03月10日 05時15分 公開
[成相裕幸ITmedia]
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ジャニー氏から継承した井ノ原快彦の「嫌われない覚悟」

 4つ目は気をつかわせないように気をつかうこと。元SMAP中居正広さんがデビュー前にジャニー氏と、その他のスタッフと打ち合わせをしているときのこと。スタッフが部屋から出ていきドアを閉めたときに、ジャニーさんは中居さんに「笑え」という指示を出しました。なぜと聞いたら、会議が終わった後、扉が閉まった瞬間に部屋のなかから笑い声が聞こえると、スタッフの人は「僕との会議を楽しんでくれたのかな」と思うはず。だから笑えと言っていたそうです。

 ジャニーさんは本当に徹底的に繊細に気をつかい続けた人だと言えます。

 その繊細な気づかいを継承して徹底的にやりきっているのがV6井ノ原快彦さんでしょう。いうならば「嫌われない覚悟」。相手のいうことを否定しない、相手を気持ちよくさせるウソはありのスタンスです。取材のときに、何度同じことを聞かれても「待ってました、その質問」という感じで答えを返す。そういう態度をとることで相手を盛り上げる。

 「嫌われる勇気」とはまったく逆の「嫌われない覚悟」をもつことにで好かれることになった井ノ原さんと、同じく情報番組で司会をつとめるTOKIO国分太一さんは、高いコミュニケーション力をジャニー氏から継承しているのではないでしょうか。

 最後に子どもたちを徹底的に信じきること。「少年たち」というジャニー氏の企画、構成、総合演出の映画があります。主演の京本大我さんが演じるキャラクターは、1回仲間を裏切るが、また戻ってくる。戻ってくるとき、普通ならばひと悶着(もんちゃく)あるところですが、戻ってくると信じていた、と周りが自然に受け入れる。これはジャニー氏の、心の奥底から仲間を信じる精神を表していると僕には見えます。

 SMAPの解散騒動のときも、マスコミの前ではずっと「彼らが出ていくはずがない」というスタンスを貫いていました。結果SMAPは解散し、3人は事務所を抜けてしまいましたが、それくらい信じている人なんです。信じ切っているがゆえに裏切られたときの耐性がない。郷ひろみさんが事務所を出ていった後は、病気で休養もしています。生命の危機になるぐらい裏切りに弱い。それぐらい信じ切っている。根底にあるのは信じるから信じてもらえるという姿勢です。

phot ジャニー氏はSMAPの解散騒動のときも彼らを信じ続けた(訪中時。写真提供:ロイター)

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