ジャニーズ式教育法によって所属タレントたちは正解の道だけを進もうとはしなくなったと言えます。ジャニーズ的な王道はジャニーさんのミュージカルをやってきた滝沢秀明さん、堂本光一さんなど。この人たちのような生き方もあるでしょう。
逆に櫻井翔さんや元男闘呼組の岡本健一さんのように、ここで生き残れるのかとアウェイ感を抱いていた人たちは別のジャンルにも目をむけて、彼らにも場所を与えて成功させている。王道を進む人もいれば、う回して進む人もいる。そのう回路をとることも否定しなかった。う回していろいろな景色を見た結果、人材の希少性が高まります。
「どこの仕事でもアウェイ」といっていた櫻井翔さんは慶応幼稚舎を見てジャニーズの景色を見て、その先にあるニュースキャスターという景色にたどりついた。加藤シゲアキさんは自分が育った渋谷という景色と、芸能界という景色をあわせて小説を書いている。いろんな景色を見てきたことで人材としての価値が上がってきました。
逆にいえば人材としての価値を上げるためには「なのに」を増やすこと。ジャニーズはたくさんいるし、慶応もたくさんいる。でもジャニーズ「なのに」慶応は櫻井翔さんしかいない。King & Princeの平野紫耀さんは「誰かと同じことをやるのはジャニーさんが嫌いなことだったし、僕らも嫌い」とジャニー氏の死後に言ってます。タレント個々が自分のやりたいことを否定しないのがジャニー氏でした。それが子どもたちの個性を消さずに大人にさせた、ということだと思います。(了)
成相裕幸(なりあい ひろゆき)
フリーライター。1984年福島県いわき市生まれ。明治大学文学部卒業。出版業界紙「新文化」記者、『週刊エコノミスト』編集部を経てフリーランスに。
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