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トヨタの役員体制変更の狙いは何か?池田直渡「週刊モータージャーナル」(5/5 ページ)

» 2020年03月09日 07時31分 公開
[池田直渡ITmedia]
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 トヨタは今、徹底して戦う組織を目指し、そのためにはつまらないプライドを捨てることを求めている。そして全ての原理原則はTPSなのだ。トヨタの本尊はTPSであり、そこにトヨタらしさがある。

 豊田社長の次の言葉で、この記事を締めたいと思う。

 トヨタが継承してきた良いところは一層強化し、充実していく。一方、これまでの悪い慣習は、私の代で一気にやめて、『トヨタらしさ』を取り戻す。それをしなければ、次世代にタスキをつなぐことはできないというのが私の正直な気持ちです。

 これまでも役員人事や組織改正については、「適材適所」の考え方に基づき、従来の慣例にとらわれることなく、柔軟に実施してまいりました。

 今回の体制変更についても、さらに階層を減らすことによって、私自身が、次世代のリーダーたちと直接会話をし、一緒に悩む時間を増やすべきと判断いたしました。

 次世代のために、今、私がやらなければならないことは、何よりも『トヨタらしさ』を取り戻すことだと思っております。

筆者プロフィール:池田直渡(いけだなおと)

 1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。

 以後、編集プロダクション、グラニテを設立し、クルマのメカニズムと開発思想や社会情勢の結びつきに着目して執筆活動を行う。


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