10年で市場4倍! 飲兵衛こそ「ノンアル」に、注目すべき理由スピン経済の歩き方(4/6 ページ)

» 2020年03月10日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

「タバコ規制の次は飲酒規制」という流れ

 ご存じの方も多いだろうが、IOC(国際オリンピック委員会)は1988年から禁煙方針をとっていて、10年にはWHOと「タバコのない五輪」という協定を結んでいる。つまり、五輪を東京に呼ぶことは、この禁煙方針を都市として受け入れなくてはいけないということなのだ。これに例外はなく、日本以上に喫煙率の高い中国やロシアも北京五輪、ソチ五輪でこの規制を受け入れている。

 事実、13年から、政府、厚労省、そして東京都は綿密なタイムスケジュールに基づいて「喫煙規制」を進めてきた。かつては喫煙規制をはね返す「守護神」だった自民党のタバコ族による「世界に誇る分煙先進国の実現を推進していくことが重要である」(自民党たばこ議員連盟 受動喫煙防止に関する基本理念)という提言もあっさりスルーされ、気が付けばWHOが推進する「屋内禁煙」の規制が定着しつつあるのだ。

 つまり、13年に五輪を招致した時点で、「分煙」という日本のガラパゴスルールが敗れることはもう目に見えていたのだ。

 このような「タバコ」の前例を踏まえると、「酒」も同じ道をたどる可能性が高い。WHOはIOCと協定を結んだ10年に「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」を採択している。18年には、全世界で300万人以上が、アルコール飲料が原因で亡くなっているほか、暴力やメンタルヘルスの問題、経済的損失を社会に及ぼしているという世界報告を発表している。

 タバコ規制の次は飲酒規制というのは、もはや避けられない世界の潮流なのだ。と聞くと、「タバコ規制の場合は五輪を招致したので受け入れざるを得なかったのかもしれないが、飲酒規制など日本は受け入れる理由はどこにもないだろ」と考える方も多いかもしれないが、残念ながらもう日本はこの流れに屈している。

 それはSDGs(持続可能な開発目標)である。

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