この10年で市場が4倍近く拡大しているノンアルコールビールのし烈な競争が、この春さらに激しくなっていきそうだ。
現在、シェアトップを誇るアサヒの「ドライゼロ」を追撃するかたちで、3月10日にサントリーが「オールフリー」をリニューアル。キリンも31日に香料、糖類、人工甘味料を使わず、「無添加」を押し出した新製品「グリーンズフリー」を発売、首位奪還を狙っているのだ。
という話を聞いても、なんの興味も抱かない人も多いかもしれない。拡大しているといっても、本家ビールの市場規模の5%程度。世の中のほとんどの人たちにとって、ノンアルコールビールはまだまだ「自分には関係ない飲みもの」という位置付けなのだ。
ただ、個人的には、酒がなくては生きている意味がないという「のんべえ」の方こそ、ノンアルコールビールの動向に注目すべきだと思っている。日本の「飲酒規制」がどんなものになっていくのかを予測するための、ひとつの指針となるからだ。
喫煙率がガクンと減って2割を切ったことで、政府が屋内原則禁煙という規制に踏み切ったように、「飲酒規制」も「酒離れ」という社会ムードに大きく左右される。それを察知するにはノンアル市場の動向はうってつけなのだ。
「はあ? なに寝ぼけたこと言ってんだよ、これだけ景気が悪いなかで、庶民の楽しみである酒を規制なんてしたら日本は終わりだ!」という声が360度から聞こえてきそうだが、海の向こうでは、「飲酒」に対して何かしらの規制をかけている国のほうが圧倒的に多い。
イスラム圏のような宗教的な制約もあるが、医療費抑制、飲酒運転やケンカなどの治安維持、未成年者のアルコール依存などの観点から規制をかけている。具体的には、広告規制、酒の安売り禁止、飲み放題禁止、深夜などの販売禁止、そして公共の場での飲酒禁止などだ。
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