こうした「不完全な働き方改革」による悪影響を最も受けやすいポジションが中間管理職、と言えそうだ。小林さんは最近のマネジャーの傾向として「日本企業が低成長な上に人手不足や成果主義といった傾向にある。そこで起きているのが管理職の『プレイング・マネジャー』化だ」と指摘する。「机に座って現場には行かない」旧来の上司像が崩れ、部下の管理や教育、加えて数字を出すため現場業務など、多岐にわたる業務に追われるようになったという。
では、そんな日本の管理職は具体的にどんなつらさを感じているのか。調査で明らかになったのは「マネジャーは高負担の業務に耐えて頑張っても、実際の成果や会社からの評価で報われていない」という残酷な実態だ。
アンケートでは管理職の人間を「負担感の高い群」「中群」「低群」の3グループに分けて分析。彼らの人事評価や個人・(所属)組織の業務パフォーマンスについて調べたところ、高・低グループ間で有意な差は認められなかった。小林さんは「(高負荷群が)高評価などを得られていたら彼らも報われていると言えるが、今の日本の管理職の高負荷な仕事はただ単に“重荷”でしかない」とみる。
他にも、負担感の高い管理職グループは低い方に比べ「付加価値を生む業務に着手できていない」「他の会社に転職したい」といった課題やネガティブな意識をより抱く傾向にあることも判明した。「睡眠不足」「疲労・ストレス」といった心身の健康面でも、低負担グループより顕著に問題を抱えている結果に。
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