近年、問題になっている日本の中間管理職の負担増。残業時間の規制など働き方改革の推進にもかかわらず、職場の人手不足や減らされぬ業務ノルマが、どうしても彼らにしわ寄せされる傾向にある。部下の管理・育成と現場営業などを並行してやらざるを得ない「プレイング・マネジャー」化も進んでいるとされ、心身を壊すケースも後を絶たない。
一方で、管理職の負担感増の背景には、「管理職自身が招いている」自業自得な原因もあるようだ。人材系シンクタンクのパーソル総合研究所(東京・千代田)がマネジャーへの調査データを分析したところ、「部下をルールや仕事量などで厳格に管理する」タイプの上司は、他のタイプよりマネジメント業務での負担がむしろ増す傾向にあるという――。管理職の残酷な実態を分析した前編に続き、調査を担当した同社の主任研究員、小林祐児さんに聞いた。
調査は19年、同社が全国の企業で管理職として働く2000人にWeb上で実施(発表は同年11月)。アンケート結果のデータを統計的に解析した。
小林さんらは、管理職のとるマネジメントによって部下のどんな行動を引き出すのかを分析した。まず、結果として生じる「部下の行動」について「配慮的行動(上司の顔を立て、細かいことも報告・相談、同席を依頼する)」と「批判的行動(上司を批判したり反対をものともせず提案する)」「積極的行動(上司の出す要求を理解し、自分に割り当てられた以上の仕事も進んで行う)」の3つに分類した。
調査の結果、管理職の負担感を増加させる部下のふるまいは、「配慮的行動」と「批判的行動」で、「積極的行動」は逆に負担を軽減することが判明した。「部下が自ら努力してくれる」ふるまいが上司の負担軽減につながり、逆に批判的な言動は管理職のマネジメント負担を増やすのは、ある意味当然と言える。
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